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越境ECで提供すべき決済手段はどれ?主要国の事情と選び方を解説

国内ECの成長が鈍化するなか、海外展開を検討するD2Cブランドが増えています。


しかし、越境ECを始める際、決済手段の選択で迷うケースは少なくありません。国内で主流のクレジットカード決済やコンビニ払いが、海外でも通用するとは限らないためです。


希望する決済手段が用意されていないだけで、商品をカートに入れた顧客が購入を断念してしまうこともあります。


本記事では、越境ECで提供すべき決済手段を主要国別に解説します。中国やアメリカで主流の決済方法、自社に適した選び方、返品時の返金対応まで、越境EC展開に必要な知識をお伝えします。


決済手段の不備が離脱の原因に!

越境ECにおいて、決済手段の整備は売上を左右する重要な要素です。商品力がどれだけ優れていても、決済環境が不十分であれば、顧客は離脱してしまいます。


海外の消費者は、使い慣れた決済手段が用意されているかを重視します。商品選びに時間をかけても、購入時に使い慣れた決済手段がないと、そこで離脱してしまうケースは少なくありません。


決済プロセスが分かりにくいことや、希望の決済手段が用意されていないことは、離脱の大きな要因です。とくに、初めて利用するECサイトでは、消費者は慎重になります。


クレジットカード情報を入力する抵抗感や、海外サイトで決済する不安を抱えている消費者も多くいます。


使い慣れた決済手段があれば、こうした心理的なハードルを下げられます。越境ECでは、商品の魅力を伝えることと同じくらい、スムーズに購入できる決済環境を整えることが購入率に直結します。


越境ECにおける主な決済手段

越境ECで利用される決済手段は多岐にわたります。


ここでは、代表的な決済方法とその特徴を解説します。自社のビジネスモデルや対象国に合わせて、どの決済手段を導入すべきか検討する際の参考にしてください。


クレジットカード

クレジットカードは、世界中で広く利用されている決済手段です。Visa、Mastercard、American Expressなどの国際ブランドに対応することで、多くの国の消費者をカバーできます。


決済処理が迅速で、代金の未回収リスクが比較的低い点が特徴です。消費者にとっても、自宅にいながら決済が完了し、商品の到着を待つだけでよいという利便性があります。


ただし、海外発行のカードにはチャージバックのリスクがあります。チャージバックとは、カード利用者が不正利用や商品未着などを理由に、カード会社に支払いの取り消しを求める制度です。


海外では日本よりもチャージバックの発生率が高い傾向にあり、EC事業者側が代金を回収できないケースがあります。


デビットカード

デビットカードは、決済と同時に銀行口座から代金が引き落とされる仕組みです。すぐに口座残高が減るため、使いすぎを防ぎたい消費者に支持されています。


アメリカでは、クレジットカードに次いで利用率が高い決済手段です。とくに、若年層やクレジットカードを持たない層に選ばれています。


一方、日本国内ではデビットカードの普及率はそれほど高くありません。しかし、越境ECでアメリカをターゲットにする場合は、デビットカード決済への対応が売上拡大につながる可能性があります。


第三者支払いサービス

第三者支払いサービスは、EC事業者と消費者の間に決済事業者が入る仕組みです。代表的なサービスとして、PayPalやStripeが挙げられます。


消費者は、クレジットカード情報をECサイトに直接入力する必要がないため、個人情報漏えいのリスクを抑えられます。EC事業者側にとっても、導入が比較的簡単で、セキュリティ対策の一部を決済事業者に委ねられるメリットがあります。


とくに、ShopifyのようなECプラットフォームを利用している場合、PayPalやStripeとの連携がスムーズです。


世界200か国以上で利用できるPayPalは、越境ECにおいて欠かせない決済手段のひとつです。消費者の購入意欲を高めるだけでなく、事業者側の決済管理の負担を軽減する効果もあります。


電子マネー

電子マネーは、現金をデジタル化して利用する決済手段です。事前にチャージするプリペイド式と、利用後に引き落とされるポストペイ式があります。


日本では、交通系電子マネーのSuicaなどが普及していますが、越境ECの主要市場である中国やアメリカでは、スマートフォン決済アプリが主流です。


中国では、AlipayやWeChat PayといったスマートフォンQR決済が大きなシェアを占めているため、中国市場を狙う場合は対応が欠かせません。


一方、アメリカではApple PayやGoogle Payなどのデジタルウォレットが普及しつつありますが、クレジットカードほどのシェアはありません。


ネットバンキング

ネットバンキングは、指定された銀行口座に代金を振り込む決済方法です。


日本では高額商品の購入時によく利用されますが、国際銀行送金になると手数料が高く、時間もかかるため、越境ECではあまり一般的ではありません。


ただし、インドネシアやベトナムなど一部のアジア地域では、クレジットカードの普及率が低く、銀行振込が好まれるケースもあります。


代金引換

代金引換は、商品の受け取り時に配送業者へ直接代金を支払う方法です。クレジットカード情報をECサイトに入力する必要がないため、個人情報の漏えいを心配する消費者に支持されています。


越境ECでは物流コストの関係で導入が難しいケースが多いものの、タイやフィリピンなど一部のアジア地域では根強い人気があります。これらの国では、クレジットカードの普及率が低く、商品を確認してから支払いたいというニーズがあります。


現地の物流網を活用できる体制が整っている場合は、検討する価値があるでしょう。


越境EC主要国(中国・アメリカ)における主な決済手段

越境ECの主要市場である中国とアメリカでは、それぞれ主流の決済手段が異なります。


ここでは、両国における決済手段の特徴を解説します。


出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」(https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005-a.pdf#page=105)


中国

中国の越境EC市場では、Alipay、WeChat Pay、銀聯が主要な決済手段として利用されています。


なかでもAlipayは、中国のEC決済において大きなシェアを持つ決済サービスです。中国最大級のECプラットフォーム「タオバオ」を運営するアリババグループが提供しており、中国で販路を拡大するうえでは欠かせない決済手段といえます。


また、メッセージアプリ「WeChat」に組み込まれたWeChat Payも、中国では広く普及しています。AlipayとWeChat Payを合わせると、中国のモバイル決済市場の大半を占めており、スマートフォン決済が日常的に利用されていることがわかります。


一方、銀聯カードは中国で最も発行枚数が多いクレジットカード・デビットカードであり、カード決済に対応するうえで重要な選択肢です。


中国では現金決済の割合が急速に減少し、スマートフォン決済が主流となっています。そのため、中国向けの越境ECでは、まずAlipayとWeChat Payへの対応を優先し、必要に応じて銀聯カードにも対応することが重要です。



アメリカ

アメリカの越境EC市場では、クレジットカードが大きなシェアを占めています。Global Payments Report 2026によると、EC決済の約半数がクレジットカードによるものです。


Visa、Mastercard、American Expressといった国際ブランドのクレジットカードが広く普及しており、多くの消費者が日常的に利用しています。クレジットカードに次いで利用率が高いのがデビットカードで、両者を合わせるとEC決済の7割以上を占めます。


また、PayPalなどの第三者支払いサービスも一定のシェアを持っています。近年では、Apple PayやGoogle Payといったデジタルウォレットの利用も増えつつあります。


アメリカをターゲットにする場合、まずは主要な国際ブランドのクレジットカードに対応し、次いでデビットカードやPayPalを導入するのが現実的です。



【参考】日本の主な決済手段

Global Payments Report 2026によると、日本ではクレジットカード決済が最も多く、次いでコンビニ払い、銀行振込、代金引換が続きます。


日本は現金文化が根強く、コンビニ払いや代金引換など、商品を確認してから支払いたいというニーズが強い点が特徴です。


一方で、日本の常識が海外では通用しないケースも多くあります。越境ECでは、対象国の決済文化を理解し、現地の消費者が使い慣れた決済手段を提供することが重要です。



<h2>自社の越境EC事業に適した決済手段の選び方</h2>

越境ECにおいて、どの決済手段を導入すべきかは、自社のビジネスモデルやリソースによって異なります。


ここでは、決済手段を選定する際の判断基準を解説します。


ターゲットの国・地域での需要

最も重要なのは、ターゲットとする国や地域で実際に使われている決済手段を把握することです。中国ではAlipayとWeChat Payが必須であり、アメリカではクレジットカードやデビットカードが中心です。


ただし、同じ国でも、年齢層や商材によって好まれる決済手段は変わります。自社の顧客層に近いユーザーが、どの方法で購入しているかまで確認しましょう。


そのうえで市場調査を行い、利用率の高い上位2〜3の決済手段をカバーすることを目指しましょう。


運用コスト

決済手段の導入には、初期費用や月額費用、決済手数料などのコストが発生します。決済代行会社を利用すれば、複数の決済手段を一括で導入でき、セキュリティ対策も委ねられます。


また、海外決済では為替手数料や返金時の手数料が発生する場合があります。売上時だけでなく、キャンセルや返品が起きた際の費用も確認しておくことが大切です。


複数の決済代行会社を比較し、自社のビジネス規模に見合ったサービスを選びましょう。


セキュリティ

越境ECでは、クレジットカード情報などの個人情報を適切に管理する必要があります。


決済代行会社を利用すれば、クレジットカード情報を自社サーバーで保有せずに済み、情報漏えいのリスクを抑えられます。


また、3Dセキュア2.0などの本人認証サービスを利用できるため、チャージバックのリスク軽減にもつながります。


サポート体制

決済に関するトラブルが発生した際、迅速に対応できる体制が整っているかも重要です。


決済代行会社を選ぶ際は、日本語でのサポートが受けられるか、過去の導入事例があるかなどを確認しましょう。


越境ECでは、時差や言語の違いにより、返金やチャージバックへの対応が遅れることもあります。問い合わせ窓口の対応時間や、緊急時の連絡方法も事前に確認しておくと安心です。


ShopifyなどのECプラットフォームと連携しやすい決済サービスを選ぶと、導入がスムーズです。


越境ECの決済で押さえておくべき注意点

越境ECでは、国内ECにはないリスクや注意点があります。


ここでは、決済にまつわる主な注意点を解説します。


為替変動のリスク

越境ECでは、売上時と返金時で為替レートが変動するリスクがあります。


たとえば、商品を販売した時点では1ドル=140円だったものの、返品対応で返金する時点では1ドル=145円になっていた場合、為替差損が発生します。


また、決済代行会社によっては、外貨を日本円に両替する際の為替レートが不利に設定されているケースもあります。そのため、為替手数料がどの程度かかるのかを事前に確認しておきましょう。


為替リスクを軽減するためには、現地通貨建てで価格を表示し、現地通貨のまま入金される仕組みを検討するのもひとつの方法です。


ただし、その場合は外貨口座の管理や経理処理が複雑になるため、自社のリソースと照らし合わせて判断する必要があります。


売上が日本円で入金されるのか、外貨のまま入金されるのかによって、対応は大きく変わるため、決済手段を選ぶ際には入金通貨や為替手数料もあわせて確認しておきましょう。


関税

越境ECでは、商品の輸出入に関税が発生します。関税をどちらが負担するかによって、顧客満足度は大きく変わります。


DDP(Delivered Duty Paid)は、関税込みの価格で商品を届ける方法です。顧客は商品代金以外に追加費用を支払う必要がないため、購入時の安心感が高まります。その結果、再購入率の向上につながる可能性があります。


一方、DDU(Delivered Duty Unpaid)は、関税を顧客負担とする方法です。商品到着時に予想外の関税を請求されると、顧客が不満を抱き、受け取りを拒否するケースもあります。


関税率は商品や国によって異なるため、事前に調べたうえで、価格に含めるかどうかを判断しましょう。DDPで提供する場合は、関税分を価格に上乗せする必要があるため、価格競争力とのバランスを考慮する必要があります。


とくにスキンケア商品のような化粧品は、国によって関税率が大きく異なるため、販売先ごとに確認しておくことが重要です。


返品・交換時の返金対応

越境ECにおいて、返品・交換時の返金対応は非常に重要です。


日本貿易振興機構によると、アメリカの小売市場における返品総額は2024年に8,900億ドルに達する見通しであり、EC返品率は15.2%と高い水準にあります。


海外では、日本よりも返品率が高い傾向があります。とくにアパレルやスキンケアなど、サイズ感や肌に合うかどうかを試してから判断したい商品では、返品率がさらに高くなりやすいです。


返品が発生した場合、国際送料が国内配送の5倍以上かかることも珍しくありません。顧客が日本へ返送する場合、送料だけで数千円から1万円以上かかるケースもあります。そのため、この送料を誰が負担するのか、事前に返品ポリシーで明確にしておく必要があります。


また、返金処理にも注意が必要です。売上時と返金時で為替レートが変動していると、顧客が受け取る金額が購入時より少なくなる可能性があります。このような事態が頻発すると、顧客の不信感を招く原因になります。


さらに、返品された商品の取り扱いも課題です。日本へ送り返すと国際送料が再度発生し、輸送中の破損リスクもあります。一方で、現地で廃棄すれば、在庫ロスにつながります。


返品対応の仕組みが整っていないと、決済手段を整備しても、返品コストによって利益が圧迫されてしまいます。


こうした課題に対しては、現地倉庫で返品を受け取り、現地で再販や廃棄の判断を行う仕組みが有効です。国際送料の削減だけでなく、返品処理のスピードアップにもつながるため、顧客満足度の向上と利益率の改善を同時に目指せます。


越境ECを始める際は、決済手段だけでなく、返品・物流の仕組みも一体で考え、持続可能なビジネスモデルを構築することが重要です。


出典:日本貿易振興機構「2024年の米小売市場の返品総額は8,900億ドルに達する見通し、新型コロナ感染拡大前の2倍以上に拡大」(https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/12/f9ffc99c4b6de079.html)


まとめ

越境ECにおいて、決済手段の整備は売上を左右する重要な要素です。


中国ではAlipayやWeChat Pay、アメリカではクレジットカードやデビットカードが主流であり、対象国に合わせた決済環境の構築が欠かせません。


決済手段を選ぶ際は、ターゲット市場での需要、運用コスト、セキュリティ、サポート体制を総合的に判断しましょう。また、為替変動や関税、返品時の返金対応といった越境EC特有のリスクにも注意が必要です。


とくに返品率が高い海外市場では、国際送料が利益を圧迫し、返品された商品の取り扱いも大きな課題となります。


こうした決済後の返品・物流課題に対して、Return HelperのFlexForwardは、世界17か国の現地倉庫ネットワークを活用したソリューションを提供しています。


現地での返品受け取りから再販・廃棄判断までをサポートし、返品コストの削減と顧客満足度の向上を支援します。


越境ECの成功には、決済手段の整備だけでなく、返品・物流まで含めた一気通貫の体制構築が欠かせません。ぜひお気軽にご相談ください。


詳しい越境EC物流ソリューションについては、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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