越境ECの始め方|参入の流れから出店方法、決済や物流の体制まで解説
- return helper
- 7月27日
- 読了時間: 22分
自社のECサイトが国内で軌道に乗ってくると、次の成長の一手として海外展開が視野に入ってきます。とはいえ、関税や法規制、物流まで考えると、何から手をつければよいか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、越境ECの基本知識から始め方の流れ、出店方法、決済・物流の体制までを解説します。とくに見落とされがちな「返品対応」にも具体的に触れるため、参入前の準備にお役立てください。
越境ECとは?
越境ECとは、国境を越えて海外の消費者に商品やサービスを販売する電子商取引のことです。国内ECが日本語・日本円での取引を前提とするのに対し、越境ECでは外国語での表示や海外通貨での決済、国際配送への対応が必要になります。関税や通関手続き、言語・文化の壁への対応が求められる点が、国内ECとの大きな違いです。
一方で、越境ECには国内ECにはない強みもあります。日本を訪れた外国人観光客が帰国後も自国から購入を続ける「訪日後のリピート需要」です。日本製品の品質や安全性への評価は高く、一度気に入った海外の消費者が継続的に購入してくれるケースは珍しくありません。
国内市場の成長が鈍化するなか、こうした海外の潜在顧客にアプローチできることが、越境ECの本質的な魅力といえるでしょう。
越境ECのメリット
越境ECの大きなメリットは、国内市場の縮小リスクを補い、新たな売り上げの柱を築ける点にあります。円安局面では日本製品が割安に感じられ、価格競争力も高まりやすくなります。とくに化粧品やスキンケアなど、品質面で評価されやすいD2Cブランドにとっては、いまが参入の好機ともいえるでしょう。
また、実店舗を持たずに始められるため、比較的少ない初期投資で参入できる点も魅力です。まずは特定の国・地域で小規模に始め、市場の反応を確認しながら拡大していく段階的な進め方が、リスクを抑えながら成長させるポイントになります。
越境ECのデメリット
一方で、事前に把握しておきたいデメリットもあります。
まず、国際配送は距離や重量によって国内配送の何倍もの送料がかかることがあります。
次に、化粧品や食品は成分規制・表示義務が国によって大きく異なるため、事前の確認が欠かせません。
そして、もっとも見落とされやすいのが返品対応です。海外では国内よりも返品率が高い傾向があり、返送コストや対応の手間が利益を圧迫する要因になりがちです。
販売後の物流やサポート体制まで含めて準備することが、安定した事業運営につながります。これらの課題への具体的な対策は、次章以降で見ていきましょう。
KW「越境EC」の記事へのリンクを推奨いたします。※記事完成次第、設定をお願いいたします。
越境ECの市場規模|現況と展望
越境ECの市場は、世界的に拡大を続けています。経済産業省の「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によると、日本・米国・中国の3か国間における越境BtoC-EC市場規模において、日本製品に対する需要(日本からの購入額)は、米国が1兆5,978億円、中国が2兆6,372億円に達しています。
これは、米国の越境BtoC-EC総市場規模(2兆7,144億円)の約59%、中国の総市場規模(5兆7,769億円)の約46%を占める水準で、両市場における日本製品の存在感の大きさがうかがえます。一方、日本の消費者が米国・中国から購入した額は合計4,410億円にとどまり、日本企業にとって越境ECは「買い手」よりも「売り手」として大きな成長機会がある市場だといえるでしょう。
ただし、市場の伸びに比例して、返品や顧客対応の件数も増えていくことは避けられません。売上拡大だけに目を向けるのではなく、国内の数倍かかると言われる返品コストや返送管理にも、早い段階から目を向けて体制を設計しておく必要があります。
出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査報告書」(https://www.meti.go.jp/files/900018019.pdf)
越境ECの需要が拡大している背景
需要拡大の背景には、世界的なインターネットインフラの整備により、海外のECサイトへ気軽にアクセスできる環境が整ったことが挙げられます。
かつては海外通販に抵抗感を持つ消費者も多くいましたが、SHEINやTemuといった海外発のECサービスが台頭したことで「海外から買う」という行為への心理的なハードルは大きく下がりました。
決済や翻訳の技術が進歩したことも、この動きを後押ししているといえるでしょう。
越境ECを始めるまでの流れ
越境ECを始める際は、いきなり販売を開始するのではなく、段階を踏んで準備を進めることが重要です。とくに注意したいのが、事前リサーチの段階で禁制品の確認を怠らないことです。これを見落とすと、せっかく発送した商品が税関で没収されるリスクがあります。
ここからは、越境ECを始めるまでの基本的な流れを順番に見ていきましょう。
1:商品を準備する
まず取り組むべきは、販売する商品の準備です。とくにスキンケアなどの化粧品は、販売国の成分規制への対応が最優先の課題になります。
たとえば、アメリカでは化粧品規制近代化法(MoCRA)により、施設登録や製品登録、有害事象の報告体制が求められるようになりました。
日本国内では問題のない商品でも、海外では成分やパッケージ表示の変更が必要になるケースがあるため、この段階から各国の法規制を踏まえておくことが重要です。
2:販売国とターゲットを設定する
次に、どの国のどのような層に向けて販売するかを決めます。化粧品市場の規模を踏まえると、アメリカと中国は有力な候補です。
とくにアメリカでは、肌を外的環境から守る機能を持つ化粧品について、25歳から44歳の利用率が他の年代より高いとの調査結果があります。また、中国の国産化粧品ブランドでは、25歳から35歳の消費者が中心となっています。
ただし、同じスキンケア商品であっても、国によって重視されるポイントは異なるため、自社商品と相性のよい年齢層やライフスタイルを踏まえたターゲット設定が欠かせません。
限られたリソースで始める場合は、複数の国へ同時展開するのではなく、まずひとつの重点市場に絞り、ノウハウを蓄積してから次の国へ横展開する方法が、リスクを抑えながら着実に海外展開を進められるでしょう。
3:出店方法を決める
販売国とターゲットが固まったら、出店方法を選びます。判断基準は、スモールスタートを重視するか、ブランディングを重視するかです。
低リスクで市場の反応を試したいのであれば、海外モールへの出店、ブランドの世界観を大切にしたいならShopifyなどのASPを使った自社サイトが適しています。商品カテゴリーごとに販売の場を使い分けることが、無理のないスモールスタートにつながります。
それぞれの手法の詳しい特徴は、次の章で深掘りしていきます。
越境ECの始め方|主な参入方法それぞれのメリット・デメリット
越境ECの参入方法には、大きく分けて4つの選択肢があります。
自社サイトを立ち上げる
海外モールを利用する
国内モールを利用する
現地企業に卸す
自社の状況や目指す方向性に応じて、最適な手法を選びましょう。
難易度でいえば、国内モールや海外モールの利用がもっとも始めやすく、自社サイトの構築や現地企業への卸は、準備に時間がかかる分、得られる自由度も高くなる傾向にあります。
まずは全体像を把握したうえで、自社に合った組み合わせを検討してみてください。
自社サイトを立ち上げる
越境ECの参入方法の1つ目は、自社サイトを立ち上げることです。既存のECサイトを多言語対応させたり、新たに越境EC向けのサイトを構築したりします。Shopifyのように多言語・多通貨対応の機能を備えたASPを使えば、比較的スムーズに越境ECを始められます。
メリットは、デザインや顧客体験を自社ブランドの世界観に合わせて自由に設計できる点です。たとえば、商品へのこだわりやブランドストーリーを重視するスキンケアブランドであれば、モールの画一的なフォーマットに縛られることなく、世界観をそのまま海外ユーザーに伝えられます。
また、すでにShopifyで国内向けECサイトを運営している場合は、既存の仕組みを活用できるため、追加のシステム構築コストを抑えながら越境ECへ対応できる点も魅力です。
一方で、自社サイトは海外モールと異なり、基本的に集客を自社で行う必要があります。そのため、認知度を高めるまでに時間がかかりやすく、SEO対策や広告運用、SNSでの情報発信などを継続して行わなければなりません。
自社サイトによる越境ECは、一定の運用負荷があるものの、ブランド価値を高めながら長期的に顧客との関係を築きたい事業者に適した方法といえるでしょう。
海外モールを利用する
越境ECの参入方法の2つ目は、海外モールを利用することです。AmazonやeBayなど、現地で高い知名度と集客力を持つプラットフォームに出店します。すでに多くのユーザーが利用しているため、出店直後から一定のアクセスを見込めます。
また、現地の消費者から信頼を得ているモールを活用することで、自社ブランドの認知度が低い段階でも販売を始めやすくなります。ゼロから集客基盤を構築する必要がないため、初めて越境ECに取り組む事業者にとっては、比較的ハードルの低い参入方法といえるでしょう。
一方で、モールごとの利用規約や販売ルールに従う必要があり、別途手数料が発生します。また、同じカテゴリーの商品が多数並ぶため、価格競争に巻き込まれやすい点にも注意が必要です。価格だけで比較される状況が続くと、利益率の低下につながる可能性もあります。
試験的に海外販売の反応を見たい場合や、初めて越境ECに取り組む場合には、難易度が低く、始めやすい有力な選択肢といえるでしょう。
国内モールを利用する
越境ECの参入方法の3つ目は、Amazonなど、日本国内にありながら海外販売機能を備えたモールを活用することです。日本語の管理画面を使いながら海外向けの販売ページを用意できるため、越境ECが初めての事業者でも比較的取り組みやすいのが特徴です。
出品ページを自動で多言語化する機能を備えたモールもあり、翻訳の手間を大きく減らせる点も魅力です。
一方で、対応できる国や地域がモールの仕様に左右されるため、展開できる市場の幅は限られる傾向にあります。まずは国内での運営体制を崩さずに海外販売を試したい事業者に向いた方法です。
現地企業に卸す
越境ECの参入方法の4つ目は、現地企業に卸すことです。進出したい国の企業と契約し、商品を卸売りします。現地の販売網や商習慣に詳しいパートナーと組むことで、法規制や通関への対応を任せられる点がメリットです。
また、現地の小売店やドラッグストアといった既存の販路に商品を並べてもらえるため、認知拡大のスピードも期待できます。
一方で、価格決定権や顧客データを自社で持ちにくく、ブランドの一貫性を保ちにくいというデメリットもあります。自社の運用リソースが限られている場合や、現地の商習慣に不慣れな場合には、有効な選択肢のひとつです。
なお、これらの参入方法は必ずしもひとつに絞る必要はありません。海外モールで市場の反応を確認しながら、自社サイトを育てたり、特定の地域では現地企業への卸販売を行ったりと、複数の手法を組み合わせて展開している事業者も多く見られます。
自社の商品特性や運用体制に合わせて、無理のない形で海外展開を進めていきましょう。
【国別】主要な越境ECモールの特徴
越境ECの主要市場である中国とアメリカでは、それぞれ異なるモールが主流です。自社の商品やターゲットに合わせて、出店先を検討しましょう。
同じ「海外モール」でも、国が変われば消費者の購買行動やモールごとの強みも大きく異なります。まずは、代表的なモールの特徴を押さえておきましょう。
中国の主要なECモール
中国では、天猫(Tmall)や京東(JD.com)といったモールが大きなシェアを占めています。
天猫は、正規品を扱う海外ブランド向けの窓口として知られており、化粧品や日用品を扱うブランドが数多く出店しています。
京東は自社物流網の強さに定評があり、配送スピードを重視する消費者から支持を集めています。
これらのモールは審査基準が厳しく、法人としての実績や商標登録を求められることも多いのが特徴です。出店までに準備期間を要する一方、その分、現地の消費者からの信頼性は高く、化粧品など品質が重視されるカテゴリーとの相性もよいとされています。
なお、天猫国際(Tmall Global)や京東全球購(JD Worldwide)といった越境EC専用のモールも用意されています。これらは保税区の倉庫を経由して商品を発送する仕組みのため、現地法人の設立や商標登録を待たずに出店できる点が特徴です。
初めて中国市場に参入する事業者にとっては、まずこうした越境EC専用モールから試すという進め方も選択肢になります。
アメリカの主要なECモール
アメリカでは、AmazonやeBayが代表的なモールです。
Amazonは圧倒的な会員基盤を持ち、FBA(フルフィルメント by Amazon)を利用すれば、在庫管理から配送までを任せられます。とくにスキンケアなどの美容カテゴリーは競争が激しく、レビュー数や評価の高さが購入の決め手になりやすい傾向があります。
なお、Amazonでは、化粧品やスキンケアなどのカテゴリーが「ゲーテッドカテゴリー(出品制限カテゴリー)」に指定されており、出品には事前の承認申請が必要です。成分表示や安全性に関する書類の提出を求められることもあるため、余裕を持って準備を進めましょう。
eBayはオークション形式にも対応しており、幅広いカテゴリーの商品を柔軟に出品しやすいのが特徴です。新規ブランドでも比較的低い出店コストで始められるため、テスト販売の場として活用する事業者も少なくありません。
いずれのモールも競合が多いため、商品ページの作り込みやレビュー対策、購入後の丁寧なフォローが成果を左右します。
越境ECにおける主な決済手段
越境ECでは、販売先の国や地域に合わせた決済手段を用意することが重要です。日本では一般的な決済方法であっても、海外ではあまり利用されていない場合があり、現地ユーザーにとって使いにくいサイトと受け取られてしまう可能性があります。
ここでは、世界中で広く利用されている代表的な決済手段と、それぞれの特徴について解説します。
決済方法の選択肢が少ないと、商品に興味を持っていても、購入手続きの段階で離脱されてしまうことがあります。機会損失を防ぐためにも、まずは基本的な決済手段を理解し、進出先の市場に合わせて最適な選択肢を整えていきましょう。
クレジットカード
クレジットカードは、越境ECでもっとも利用されている代表的な決済手段です。VisaやMastercardなどの国際ブランドに対応していれば、多くの国や地域のユーザーが利用できるため、越境ECを始める際には優先的に導入したい決済方法といえます。
一方で、不正利用への対策として、3Dセキュア2.0(EMV 3-Dセキュア)などの本人認証の導入も検討する必要があります。国内では2025年以降、原則としてすべてのEC加盟店に3Dセキュア2.0の導入が求められており、越境ECでも同様の対策が不可欠です。
さらに、チャージバック(不正利用による支払いの取り消し)への対応方針も、あらかじめ決めておくと安心です。決済手数料は国内取引よりも高めに設定されていることが多く、入金までのサイクルや振込通貨も決済代行会社によって異なるため、契約前に確認しておきましょう。
デビットカード
デビットカードは、銀行口座から即時に引き落とされる決済手段です。クレジットカードを持たない層にも利用されやすく、とくに欧米では若年層を中心に普及が進んでいます。使いすぎを防ぎたい消費者から支持されており、若い世代がメインターゲットとなる商品では、重要な選択肢のひとつです。
第三者支払いサービス
第三者支払いサービスとは、PayPalに代表される決済代行の仕組みです。購入者はカード情報を販売者側に直接渡す必要がないため、安心して利用できる点が支持されています。この選択肢を用意していないと、決済画面で購入をためらわれ、いわゆる「カゴ落ち」が増える傾向にあるため、導入を検討する価値は高いといえます。
とくに越境ECでは、初めて利用するサイトへの警戒心が国内以上に強くなりがちです。見慣れた決済ブランドのロゴを表示しておくだけでも、購入への心理的なハードルを下げる効果が期待できます。
電子マネー
電子マネーは、事前にチャージした残高で支払う決済方法です。とくにアジア圏では、スマートフォンアプリと連携した電子マネー決済が広く浸透しています。現金を持ち歩く習慣が薄れつつある国も多く、若年層を中心に日常的な支払い手段として定着しています。
ネットバンキング
ネットバンキングは、購入者が自身の銀行口座から直接決済する方法です。ヨーロッパの一部地域では主要な決済手段として利用されており、クレジットカードを持たない層への対応策にもなります。国によって普及しているサービスの名称や仕組みが異なるため、進出先の慣習を事前に調べておく必要があります。
代金引換
代金引換は、商品到着時に配送業者へ代金を支払う方法です。決済への不安が根強い地域で選ばれやすい一方、越境ECでは配送に日数がかかるため、導入できる国や地域は限られます。また、受け取り拒否による返送リスクが生じやすい点も、あわせて考慮しておきたいポイントです。
越境EC主要国(中国・アメリカ)における主な決済手段
越境ECでは、国や地域によって利用される決済手段が大きく異なります。そのため、販売先で普及している決済方法を導入することは、購入率の向上やカゴ落ちの防止につながります。
ここでは、越境ECの主要市場である中国とアメリカを例に、それぞれで広く利用されている決済手段と特徴を紹介します。
中国の主な決済サービス
中国では、Alipay(支付宝)やWeChat Payといったモバイル決済サービスが圧倒的な普及率を誇ります。実店舗での決済に占める割合は9割近くに達しており、オンライン・実店舗を問わず、モバイル決済が当たり前の支払い方法として定着しています。
現地の消費者にとって、これらのモバイル決済は生活に根づいており、対応していないサイトはそれだけで選択肢から外れることも珍しくありません。
中国向けに越境ECを展開する場合、これらのモバイル決済への対応は避けて通れないといえるでしょう。天猫や京東などのモールに出店する場合は、モール側が決済手段をあらかじめ用意しているケースも多いため、出店時にあわせて確認しておくと安心です。
アメリカの主な決済サービス
アメリカでは、EC決済においてデジタルウォレットがもっとも高い比率を占めており、その割合は4割ほどに達しています。次いでクレジットカードが3割程度で続いています。
中国のように特定の決済サービスへ大きく偏っているわけではありませんが、デジタルウォレットの利用が拡大している点は、日本のEC市場との大きな違いといえるでしょう。
あわせて、BNPL(後払い決済)も一定の存在感を持っており、EC決済全体の6%程度を占めています。BNPLは商品代金を数回に分けて支払える仕組みで、購入時点でのハードルを下げられることから、単価がやや高めの化粧品やスキンケア商品との相性もよいとされています。
アメリカ向けの越境ECでは、クレジットカードだけでなく、デジタルウォレットやBNPLなど、現地で利用されている決済方法にも対応することが重要です。利用者が使い慣れた決済手段を選べるようにすることで、購入時の離脱を防ぎ、コンバージョン率の向上が期待できます。
自社サイトで越境ECを運営する場合は、Shopifyなど、多様な決済サービスに対応したプラットフォームを活用すると、導入や運用の負担を抑えながら現地ニーズに対応しやすくなります。
越境ECの主な物流体制
越境ECでは、商品を海外の顧客へ確実に届けるために、物流体制を整えることが重要です。配送方法や在庫の保管場所によって、配送スピードやコスト、顧客満足度は大きく変わります。
越境ECで採用される主な物流体制は、次の3つです。
国内から直接配送する
対象国内に物流拠点を構える
アウトソーシングする
どの方法にもメリット・デメリットがあるため、自社の商品特性や販売先の国・地域、想定される注文数などを踏まえて選ぶことが大切です。また、返品対応のしやすさや運用コストも考慮しながら、自社に適した物流体制を構築しましょう。
国内から直接配送する
国内から直接配送する方法は、日本国内の在庫を保管し、注文を受けてから国際郵便や国際宅配便を利用して海外へ発送する方法です。追加の拠点を持つ必要がないため、小規模でも始めやすいです。注文を受けてから発送するため、在庫を過剰に抱えるリスクが少ない点もメリットといえます。
一方で、配送に日数がかかりやすく、送料も高くなりがちな点には注意が必要です。配送中に商品の破損や紛失が起きた際の対応フローもあらかじめ決めておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
対象国内に物流拠点を構える
対象国内に物流拠点を構える方法は、販売先の国にあらかじめ倉庫を設置し、現地から商品を発送する方法です。配送日数を大幅に短縮できるため、顧客満足度の向上やリピート購入につながりやすいメリットがあります。
とはいえ、自社だけで複数の国に倉庫を構えるのは、コストや管理の面でハードルが高いのも事実です。
こうした課題に対しては、すでに海外に倉庫網を持つパートナーを活用する方法があります。たとえば、Return Helperは、世界15か国に倉庫ネットワークを展開しており、現地での在庫保管や返品の受け取りに対応しています。
また、配送会社YunExpressの正規代理店として、輸出手続きや関税をまとめて含むDDP(関税・送料込み)のエコノミー配送にも対応しています。輸入時の手続きを簡略化できるため、小型・軽量の商品を海外の個人顧客へ販売する越境ECとも相性のよいサービスです。
このようなサービスを活用すれば、自社で海外倉庫を運営しなくても、現地配送に近い物流体制を構築できます。海外物流の負担を抑えながら配送品質を高められるため、初めて越境ECに取り組む事業者にとって有力な選択肢となるでしょう。
アウトソーシングする
アウトソーシングする方法は、越境ECに関する物流業務を専門の事業者へ委託するやり方です。現地の法規制や通関手続きに詳しい専門家に任せられるため、自社に知見がなくても運用しやすいのがメリットです。
とくに、返品や交換まで含めて任せられるかどうかは、委託先を選ぶうえで見落とされがちな重要な確認ポイントです。配送だけを代行してもらっても、返品対応が自社に残ったままでは、負担の軽減効果は限定的です。
Return Helperのように、現地倉庫網と正規代理店としての配送網をあわせ持つ事業者であれば、配送から返品までを一貫して任せられます。
越境ECを始める際にしておくべき対策
越境ECは、始めてからが本当のスタートです。売って終わりにしないために、事前に講じておくべき対策を紹介します。
コンテンツをローカライズする
商品ページや説明文は、単に翻訳するだけでなく、現地の文化や言い回しに合わせて調整することが大切です。たとえば、色やサイズの感覚は国によって異なるため、現地の消費者が違和感なく理解できる表現に整えましょう。
機械翻訳だけに頼ると、ニュアンスが伝わらず、不自然な文章になることもあります。重要なページは、現地の言語に詳しい担当者による確認をはさむと安心です。
ニーズに合った決済手段を準備する
前述のとおり、国や地域によって好まれる決済手段は異なります。クレジットカードだけでなく、現地で普及している決済サービスもあわせて導入することで、購入のハードルを下げられます。決済手段が少ないままだと、せっかく商品ページまでたどり着いた顧客が購入を諦める可能性もあるため、早い段階で見直すことをおすすめします。
物流体制を整備する
配送の遅延や破損は、海外の顧客満足度を大きく左右します。追跡番号の提供や配送状況の通知など、購入者が安心できる仕組みを整えておきましょう。とくに国際配送では、通関手続きの遅れによって想定よりも到着が遅くなることがあるため、余裕を持って納期の案内をすることも大切です。
配送状況が見えないことへの不安は、問い合わせの増加にもつながります。購入者自身が状況を確認できる仕組みを用意しておくだけでも、サポートの負担を軽減できるでしょう。
現地倉庫やAPI連携を備えた物流パートナーと組むことで、配送から返品までの状況を一元管理できる体制も整えやすくなります。
返品時の返金・交換対応まで含めて物流体制を設計する
越境ECでは、物流だけでなく返品対応まで含めて体制を整えておくことが重要です。とくに返品対応は準備不足になりやすく、対応方法によっては利益を大きく圧迫する要因になります。
実際に、株式会社NEXERとReturn Helper株式会社が共同で実施した調査では「海外からの返品1件あたりの平均コスト(送料+手数料)はどのくらいですか?」という質問に対し、約4割が「3,000円〜5,000円未満」と回答しています。海外返品は国内返品に比べてコストが高く、事業者にとって大きな負担となっていることがわかります。
また「海外返品で最も困っていること・負担に感じていること」では「返送料が高い」と「返品商品の状態確認に時間がかかる」がそれぞれ約3割を占めました。費用だけでなく、返送された商品の検品や状態確認にかかる工数も、大きな課題となっています。
さらに「返品対応で『こんなサービスがあれば助かる』と思うものは何ですか?(複数回答可)」という設問では「返品商品の検品・状態確認」「再販売・再出荷の代行」「多言語カスタマーサポート」がいずれも約3割の回答を集めました。
この結果から、返品を受け付けるだけではなく、検品や再販売、多言語での顧客対応まで一括で任せられる体制へのニーズが高いことがわかります。これらをすべて自社で対応すると、コストや運用負荷が増え、利益を圧迫する可能性があります。
こうした課題に対応するサービスとして、Return Helperでは、世界15か国にある現地倉庫で返品商品を受け取り、検品・再販売・廃棄までを一括で代行しています。購入者は自国内で返品手続きを完結できるため、国際返送の負担を軽減でき、事業者側も高額な返送料や検品作業の工数を抑えられます。
越境ECでは、商品の配送だけでなく、返品時の返金や交換対応まで見据えた物流体制を構築することが重要です。販売後の運用まで含めて準備しておくことで、顧客満足度の向上と利益の確保を両立しやすくなります。
カスタマーサービスを充実させる
海外の顧客対応では、言語の違いや時差への配慮が欠かせません。多言語対応のチャットボットやメールテンプレートを整えておくと、少人数の体制でも対応の質を保ちやすくなります。よくある質問をあらかじめまとめておくだけでも、問い合わせ対応にかかる工数を大きく減らせるでしょう。
現地の法規制や税制に対応する
とくにスキンケアブランドが注意すべきなのが、アメリカの化粧品規制近代化法、いわゆるMoCRAです。
この法律により、製造施設の登録や製品情報の届出、重篤な有害事象が発生した際の報告が義務付けられています。国内で長年販売してきた処方であっても、アメリカの基準に照らすと、成分表示や安全性データの見直しが必要になるケースは珍しくありません。
対応を怠ると、最悪の場合、現地での販売停止につながるおそれもあります。規制は国ごとに内容が異なり、随時見直しも行われるため、進出前に一度確認して終わらせるのではなく、継続的に最新情報を確認する体制を整えておくことが望ましいです。
規制の解釈には専門知識が必要なため、不明な点があれば早い段階で専門家に相談しておくと安心です。
まとめ
越境ECを成功させる鍵は、集客力や商品力だけでなく、返品まで見据えた物流体制にあります。とくに海外では返品率が高くなりやすく、対応を後回しにするほど利益を圧迫し、少人数の体制ほど負担が重くのしかかります。
Return Helperなら、世界15か国の倉庫ネットワークとAPI連携により、Amazon・eBay・Shopifyなど、複数のプラットフォームの返品対応を一括で効率化できます。現地での検品・再販売・廃棄まで任せられるため、限られたリソースでも海外返品のリスクを最小限に抑えながら運用できます。
越境ECへの参入を検討している方は、返品と物流の体制づくりについて、ぜひReturn Helperへお気軽にご相談ください。








