越境ECでは消費税が還付される!条件や手続き方法、注意点を解説
- return helper
- 6月24日
- 読了時間: 13分
越境ECで商品を海外に販売する場合、消費税に関して大きなメリットがあることをご存じでしょうか。一定の条件を満たせば消費税が免除されるうえ、仕入れ時に支払った消費税が還付される可能性があります。
本記事では、越境ECと消費税の関係、消費税の還付を受けるための条件や手続き方法、注意点について詳しく解説します。資金管理や利益を把握するうえでも重要なポイントなので、ぜひ最後まで確認してください。
そもそも越境ECとは
越境ECとは、インターネットを通じて国境を越えた商品の売買を行う電子商取引のことです。消費者が自国以外のECサイトから商品を購入したり、国内の事業者が海外の消費者に向けて商品を販売したりする取引を指します。
Amazon・eBay・Shopifyなどのプラットフォームを活用した越境EC事業は、近年急速に市場規模が拡大しています。「Made in Japan」の商品は海外で高い評価を受けており、日本企業にとっても大きなビジネスチャンスとなっています。
一方で、物流コストや関税、消費税などの税務処理は国内販売とは異なる点も多く、正しい知識を持って取り組むことが大切です。消費税の仕組みを正確に理解することは、越境EC事業のコスト管理と利益確保において、重要なポイントのひとつといえます。
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越境ECでは消費税が免除される!
この章では、越境ECにおける「売上の免税」について解説します。越境ECで海外の購入者に商品を販売する場合、その売上は「輸出免税」の対象となります。日本の消費税法では、商品を国外に輸出する取引は、消費税が免除される「免税取引」とされており、事業者は海外向けの売上に消費税を上乗せする必要がありません。
国内販売では商品価格に10%(標準税率)または8%(軽減税率)の消費税が加算されますが、輸出免税が適用される越境ECでは消費税ゼロで販売できます。これは、消費税が「消費地課税」の原則にもとづいており、海外で消費される商品には日本の消費税を課さないという考え方によるものです。
この輸出免税の恩恵により、越境EC事業者は海外向け商品の価格競争力を高められます。同じ商品でも国内販売より低い価格で提供できるため、海外市場での競争上の優位性を持ちやすくなります。輸出免税は越境ECにとって重要な制度であるため、制度の仕組みをよく理解しておくことが大切です。
出典:国税庁「輸出取引の免税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6551.htm)
不必要な消費税を支払っていた場合は還付を受けられる
前の章では、売上に消費税がかからない「売上の免税」について解説しました。この章では、もう一方の重要な仕組みである「仕入れの還付」について説明します。
越境ECでは、売上に消費税がかかりません。しかし、商品の仕入れや製造、物流、梱包資材などの経費を支払う際には、国内の取引として消費税を支払っています。この「仕入れ時に支払った消費税」と「売上で受け取った消費税(免税のためゼロ)」の差額がマイナスになるため、一定の条件を満たせばその差額が還付されます。
たとえば、仕入れや物流などにかかった消費税の合計が50万円あった場合、輸出免税によって売上の消費税はゼロです。この差額50万円が還付の対象となります。海外向け販売の割合が高い事業者ほど、この還付額は大きくなります。
梱包資材・倉庫費用・国内輸送費なども還付対象の経費に含まれるため、越境EC事業者にとって消費税還付は事業コストを実質的に下げる有効な手段です。還付を積極的に活用することが、事業の収益性向上につながります。
出典:国税庁「免税事業者と仕入税額の還付」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6613.htm)
越境ECで消費税の還付を受けるための3つの条件
消費税の還付は、すべての事業者が自動的に受けられるわけではありません。以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。自社の状況と照らし合わせながら確認してみてください。
1:消費税課税事業者であること
消費税の還付を受けるには、まず「消費税の課税事業者」であることが必要です。消費税法上、基準期間(法人の場合は2事業年度前、個人事業主の場合は前々年)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は「免税事業者」となり、原則として消費税の申告・納税義務がありません。
しかし、免税事業者は消費税の還付も受けられません。課税売上高が1,000万円を超えると自動的に課税事業者となりますが、1,000万円以下の場合でも「消費税課税事業者選択届出書」を所轄の税務署に提出することで、課税事業者を選択できます。
また、2023年10月のインボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入以降は、還付を受けるために「適格請求書発行事業者(インボイス登録事業者)」として登録することが実質的に必要となっています。免税事業者が課税事業者を選択して還付を受けようとする場合は、インボイス登録の手続きもあわせて行いましょう。2つの手続きをセットで進めることがポイントです。
出典:国税庁「免税事業者と仕入税額の還付」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6613.htm)
2:原則課税方式を選択していること
課税事業者であっても、消費税の計算方法として「簡易課税方式」を選択している場合は還付を受けられません。還付を受けるためには「原則課税方式(本則課税)」を選択していることが条件です。
原則課税
原則課税とは、売上に係る消費税額から、仕入れや経費にかかった消費税額(仕入税額控除)を差し引いて納税額を計算する方法です。仕入れの消費税額が売上の消費税額を上回る場合は、その差額が還付されます。
越境ECのように、輸出免税によって売上の消費税がゼロになる場合は、仕入れにかかった消費税がそのまま還付対象となります。原則課税を選択することで、事業の実態に沿った正確な税額計算が可能です。
簡易課税
簡易課税とは、売上に係る消費税額に業種ごとに決められた「みなし仕入率」をかけて仕入税額控除を計算する、簡便な方法です。基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が選択できます。
計算がシンプルになるメリットがある一方で、実際の仕入れ消費税額を使って控除を計算しないため、還付が生じることはありません。越境ECで消費税の還付を受けたい場合は、原則課税の選択が必要です。
3:還付申請書類を期限までに提出していること
還付を受けるためには、消費税の確定申告書と還付申告書を期限内に提出しなければなりません。申告期限は、法人の場合は会計期間の末日の翌日から起算して2か月以内、個人事業主の場合は課税期間の翌年3月末日です。
期限を過ぎると、還付を受けられなくなる場合があります。スケジュールを事前に把握し、必要書類を早めに準備しておくことが重要です。還付は申告によってのみ受けられる制度であることを忘れないようにしましょう。
越境ECで消費税還付を受ける際の手続き方法
消費税の還付申告を行うには、確定申告書に加えて複数の書類を準備する必要があります。法人の場合は「消費税及び地方消費税の申告書」に加え、税率別の消費税額を計算する付表1-3や、課税売上割合と控除対象仕入税額を計算する付表2-3などを提出します。さらに、控除しきれない消費税が還付される場合は「消費税の還付申告に関する明細書」の添付も必要です。
輸出免税を適用するためには、輸出許可書や輸出証明書類など、実際に輸出を行ったことを証明する書類の保管が欠かせません。なお、EMSなどの郵送で20万円以下の小口輸出の場合は、郵便物の引受証と発送伝票の控えが証明書類として認められています。送り状であるインボイスの保管も、実務上は重要です。
申告は、国税電子申告・納税システム「e-Tax」を利用することがおすすめです。書類を提出する方法よりも処理が早く、還付金を受け取るまでの期間を短くできる可能性があります。還付申告を行う際は、これらの書類に漏れがないか事前に確認しておきましょう。
出典:国税庁「消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等」(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/shohi/06.htm)
消費税課税期間を短縮することも可能
消費税の課税期間は、原則として1年(法人は1事業年度、個人事業主は1月1日〜12月31日)です。しかし、一定の手続きを行うことで、課税期間を「3か月ごと」または「1か月ごと」に短縮できます。これを「課税期間の特例」といいます。
課税期間が1年の場合、還付申告ができるのも年1回です。一方、3か月や1か月に短縮することで、より短いサイクルで還付申告が可能です。越境ECのように、輸出免税による還付が毎期発生する事業者にとっては、キャッシュフローを早期に回収できるため、資金繰りの改善に期待できます。
出典:国税庁「消費税課税期間特例選択・変更届出手続」(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1932_1.htm)
消費税課税期間を短縮するメリット
課税期間短縮のメリットは、還付金を受け取るまでの期間を短縮できることです。年に1回だけ申告する場合は、最大で12か月分の還付金をまとめて受け取ります。一方、月ごとに申告する場合は毎月還付を受けられるため、手元のお金を安定させやすくなります。
とくに、返品コストが継続的な経営負担となっている越境EC事業者にとって、この早期回収の効果は大きいといえます。
株式会社NEXERとReturn Helperは、越境EC業務経験者20名を対象に「越境ECの返品対応に関する実態調査」を共同で実施しました。その中で「海外からの返品1件あたりの平均コスト(送料+手数料)はどのくらいですか?」と質問したところ「3,000円〜5,000円未満」と回答した事業者が40%で最多となりました。
次いで「1,000円〜3,000円未満」が35%と続き、越境EC事業者の多くが、返品1件につき数千円規模のコストを継続的に負担している実態が浮かび上がっています。
返品が一定数発生する越境ECでは、こうしたコストが資金繰りを慢性的に圧迫します。そのため、消費税還付金を早期に手元に確保し、返品コストの補填や次の仕入れへの再投資に充てることが大切です。課税期間を短くして還付を受け取るまでの期間を早めることで、還付金を事業拡大などに使える資金として活用できる点が、この制度の大きなメリットです。
消費税課税期間を短縮するデメリット
一方で、課税期間の短縮にはデメリットもあります。最も大きな負担は、申告作業の頻度が増えることです。年1回の申告であれば年に1度で済む経理作業が、3か月短縮では年4回、月次短縮では年12回必要です。
また、自社での対応が難しい場合は、顧問税理士への依頼コストが増加する可能性があります。月次申告を依頼する際は、追加の税理士報酬が発生することもあります。還付金の早期回収によるメリットと、経理・税務コストの増加によるデメリットをしっかり比較したうえで、自社に最適な課税期間を選択することが大切です。
消費税課税期間短縮の手続き方法
課税期間の短縮を希望する場合は「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を所轄の税務署に提出します。この届出書は、適用を受けようとする課税期間の開始日の前日までに提出する必要があります。提出のタイミングを誤ると、希望する課税期間から適用されないため注意が必要です。
なお、一度短縮した課税期間を元の1年に戻す場合は「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を提出します。こちらも適用開始の前日までに手続きが必要です。手続きのスケジュール管理を徹底することが重要といえます。
越境ECで消費税の還付を受ける際の注意点
消費税の還付は、正しく手続きを行えば受けられる権利ですが、実務上のミスやトラブルによって否認されるケースもあります。以下の注意点を押さえておきましょう。
輸出代行会社を利用する場合の対応
越境ECでは、輸出手続きを自社で行わず、輸出代行会社に委託するケースも多くあります。この場合、輸出免税の適用者は「実際に輸出申告を行った者(通常は輸出代行会社)」となります。委託者である越境EC事業者が輸出免税の適用を受けるためには、適切な手続きが必要です。
輸出代行会社を通じて輸出を行う場合は「消費税輸出免税不適用連絡一覧表」を輸出代行会社と取り交わし、免税の適用関係を明確にしておくことが重要です。この書類の不備が原因で還付が否認されるケースは、実務上少なくありません。
いわゆる「名義貸し」の状態になっていると輸出免税が認められないため、取引の開始前によく確認し、書類は適切に保管しましょう。この点については、国税庁の質疑応答事例「輸出取引に係る輸出免税の適用者」でも詳細が解説されており、一次情報として参照することをおすすめします。
出典:国税庁「輸出取引に係る輸出免税の適用者」
正確な記帳と申請書類の保管を徹底する
消費税の還付申告を行うと、通常の申告よりも税務調査の対象になる可能性が高くなります。そのため、税務調査に備えて、日々の記帳を正確に行い、関連する書類をきちんと保管しておくことが重要です。
帳簿や請求書、輸出証明書類などの保存期間は、原則として7年間とされています。2023年10月のインボイス制度導入以降は、仕入税額控除を受けるために「適格請求書(インボイス)」の保存が必要となり、書類管理がより厳格化されました。日ごろからの正確な記帳習慣が、税務調査への備えになります。
また、越境EC事業で返品が発生した場合には、売上・在庫・消費税額の調整が必要になります。一度輸出免税として処理した取引が返品によって取り消された場合、仕入税額控除の修正が生じるため、返品管理と経理処理を連動させる仕組みの構築が重要です。
こうした実務上の課題に対して、Return Helperの「世界17か国の倉庫ネットワーク」と「現地での再販・廃棄オプション」が大きな役割を果たします。返品商品を現地倉庫で受け取り、現地での再販や廃棄を迅速に判断することで、日本への国際返送にともなう売上取消や消費税額の再調整を最小限に抑えられます。
返品が発生した際の税務処理の正確さを保ちながら、物流コストも同時に削減したい方は、ぜひReturn Helperへご相談ください。
還付金の受け取りまでには1か月以上かかる
還付申告を提出してから実際に還付金が振り込まれるまでには、一定の時間がかかります。一般的には申告書の提出から1か月〜1か月半程度が目安ですが、申告が集中する繁忙期や書面申告の場合は、2〜3か月かかることもあります。一方、e-Taxを利用して電子申告を行えば、3週間程度に短縮できる可能性があります。
還付金の受け取りが遅れることを想定して、事前にキャッシュフロー計画を立てておくことが重要です。申告のデッドラインから逆算して早めに書類を準備し、e-Taxでの申告を活用することで、少しでも早く還付金を手元に確保できます。
越境ECにおける消費税の会計処理方法
消費税の会計処理方法には「税抜経理方式」と「税込経理方式」の2種類があります。どちらを選択するかは任意ですが、越境EC事業者が消費税の還付状況をより明確に把握したい場合は、税抜経理方式が適しています。各方式の特徴を理解したうえで、自社の会計方針に合った方式を選択してください。
出典:国税庁「税抜経理方式または税込経理方式による経理処理」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6375.htm)
税抜経理方式
税抜経理方式では、売上や仕入れの金額を消費税抜きの金額で記帳し、消費税は別途「仮受消費税」「仮払消費税」という勘定科目を設けて管理します。期末に仮受消費税と仮払消費税を相殺した結果、仮払消費税が上回る場合は「未収消費税」として資産に計上されます。
仕訳の例として、国内で仕入れを行った際には「仕入高(税抜額)と仮払消費税(10%)を分けて計上」し、輸出売上が発生した際には「消費税を含まない金額で売掛金と売上高を計上」します。期末に仮払消費税が仮受消費税を上回ると、その差額が「未収消費税」として計上され、還付される見込み額が明確になります。
この方式のメリットは、消費税の収支状況を日常的に把握しやすいことです。還付額の見通しが立てやすく、資金計画にも活用しやすいため、越境EC事業者にはおすすめの経理方式です。
税込経理方式
税込経理方式では、売上や仕入れの金額を消費税込みの金額で記帳します。消費税の還付を受けた際には「雑収入」として処理します。
計算がシンプルになるメリットがある一方で、消費税の収支状況が見えにくくなるのはデメリットです。日常的な経営状況の把握という点では税抜経理方式に比べてやや不便なため、自社の会計方針や経理体制を考慮したうえで選択してください。
まとめ
越境ECにおける消費税の還付は、事業のコスト削減と資金繰り改善につながる重要な制度です。課税事業者として原則課税方式を選択し、適切な書類管理と期限内の申告を行うことで、仕入れ時に支払った消費税を取り戻せます。また、課税期間の短縮によって還付サイクルを早めることも、資金繰りの安定化に有効な手段です。
越境ECでは消費税還付と並んで、返品コストの管理も重要な経営課題です。Return Helperは、世界17か国の現地倉庫ネットワークを活用した返品・交換・在庫再販のワンストップサービスを提供しています。還付金を戦略的な資金として活用しながら、返品対応のコストと負担を最小化したい場合は、ぜひReturn Helperへお気軽にお問い合わせください。








