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越境ECに参入する企業が知っておくべきこと|メリット・デメリットや出店方法を解説

8 時間前
読了時間: 17分

海外の消費者に向けて商品を販売する越境ECは、国内市場の成長が鈍化するなかで、新たな販路のひとつとして注目を集めています。しかし、実際に参入しようとすると、市場の動向や出店方法、物流や決済の仕組みなど、押さえておくべきポイントは少なくありません。


とくに返品対応は、コストと顧客満足度の両方に関わる見落とされがちなポイントです。本記事では、越境ECの基礎知識から参入のメリット・デメリット、具体的な準備の手順までわかりやすく解説します。



越境ECとは

越境ECとは、インターネットを通じて国境を越えて行う電子商取引のことです。日本国内の事業者が、海外に住む消費者に向けて商品やサービスを販売する仕組みを指します。海外に実店舗を出さずとも、パソコンやスマートフォンひとつで世界中に小さな支店を持てるようなイメージです。


ECは実店舗を構える必要がないため、店舗を構えるよりも少ない資本でも参入できる点が特徴です。しかし、国内のEC市場は競争が激しくなっており、成長のスピードが緩やかになっている分野も少なくありません。


そうしたなか、越境ECは単なる海外向け販路の追加ではなく、国内市場の伸び悩みを打開するための経営戦略のひとつとして位置づけられるようになっています。出店方法によっては、既存の自社ECサイトやモールでの運営体制をそのまま活かせることも特徴です。




越境ECの市場規模|現況と予測

越境ECの市場規模を把握しておくことは、参入の意思決定において欠かせません。ここでは、日本・米国・中国の3か国間における市場規模と、今後の拡大予測について解説します。


日本・米国・中国の越境EC市場規模

経済産業省の調査によると、2024年における日本・米国・中国の3か国間の越境EC市場規模は、いずれの国の組み合わせでも増加しています。


なかでも、米国の消費者が日本の事業者から購入した金額は約1兆5,978億円で、前年より8.0%増加し、中国の消費者が日本の事業者から購入した金額は約2兆6,372億円で、前年より8.5%増加しました。

両国をあわせると、4兆円を超える規模です。


一方で、日本の消費者が米国や中国の越境ECサイトから購入した金額は、これに比べると小さくなっています。つまり、日本は輸入よりも輸出の側面で存在感が大きい国だといえるでしょう。


出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査報告書」(https://www.meti.go.jp/files/900018019.pdf#page=105



EC市場規模の拡大予測

世界の越境EC市場規模は、2024年時点でおよそ1.01兆USドルと推計されており、2034年には6.72兆USドルまで拡大すると予測されています。


これは、2025年から2034年にかけての年間平均成長率にすると約23%という高い水準で、10年間でおよそ6.6倍の規模になる計算です。国内EC市場の成長率が数%にとどまることをふまえると、越境EC市場の伸びしろの大きさがうかがえるでしょう。


出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査報告書」(https://www.meti.go.jp/files/900018019.pdf#page=103


越境ECの需要が拡大している背景

越境EC市場が拡大している背景には、いくつかの要因があります。まず、スマートフォンとSNSの普及により、世界中のどこにいても海外の商品情報に触れやすくなったことが挙げられます。次に、コロナ禍をきっかけに自宅での買い物が定着し、越境ECサイトを利用する消費者が増えたことも要因のひとつです。


さらに、訪日観光客が滞在中に気に入った日本製品を、帰国後に越境ECで再購入する動きも広がっています。こうした複数の要因が重なり合い、越境EC市場は今後も拡大が見込まれています。




越境ECに参入するメリット

越境ECには、国内向けのEC事業にはない独自のメリットがあります。ここでは、代表的な4つを紹介します。


海外へ販路を拡大できる

越境ECの最大のメリットは、日本国内という限られた範囲を超えて、海外の顧客に商品を届けられることです。とくに日本製品は品質への信頼が高く評価される傾向にあり、SNSなどを通じて海外から問い合わせが届く企業も少なくありません。


すでに関心を持ってくれている相手がいるという状態は、参入を後押しする材料になります。


外貨での売上と消費税の還付を活かせる

外貨で売上を得られる点もメリットになります。決済プラットフォームによっては、円転するタイミングを自社の都合に合わせて選べる場合もあり、為替が有利なタイミングに合わせて回収することも可能です。


さらに、輸出取引は原則として消費税が免除されます。課税事業者が原則課税で申告していれば、国内での仕入れ時に支払った消費税の還付を受けられる場合があり、資金繰りの改善につながります。


出典:国税庁「No.6551 輸出取引の免税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6551.htm


実店舗よりも運営しやすい

越境ECは、オンライン上に店舗を構えるビジネスモデルです。そのため、海外に実店舗を出店する場合に比べて、テナント費用や現地スタッフの雇用にかかるコストを抑えられます。


既存の自社ECサイトや国内モールでの運営ノウハウを活用しながら、比較的小さな体制で海外展開を始められる点も魅力です。実店舗を持たない分、撤退や方針転換の判断も迅速かつ柔軟に行いやすくなります。


市場によっては競合が少ないことも

進出する国や商品カテゴリーによっては、現地企業による競合が少なく、優位に立ちやすい市場も存在します。とくに日本ならではの品質やデザイン性を武器にできる商品であれば、価格競争に巻き込まれにくく、独自のポジションを築きやすくなります。



越境ECに参入するデメリット・注意点

越境ECには多くのメリットがある一方で、事前に押さえておくべき注意点もあります。とくに輸送コストと返品対応は、利益を左右する重要なポイントです。


輸送コストが高額

海外への配送は、国内配送に比べて輸送コストが高くなる傾向にあります。距離が延びるほど送料がかさむことに加え、国際輸送では実重量と容積重量のうち大きいほうで料金が決まるため、軽くてかさばる商品ほど割高になりやすい点も特徴です。


さらに、燃油サーチャージや保険料が上乗せされるほか、関税や輸入時の消費税を売り手と買い手のどちらが負担するかによっても、実質的なコストは変わります。関税・諸税を売り手が負担する条件にすれば購入時の心理的ハードルは下がりますが、その分は自社の原価に乗ります。商品ごとの重量・容積と、どの条件で販売するかをセットで見積もることが欠かせません。


とくに、EU域内や米国の一部の州では、消費者の権利を守るための法律により返品への対応が義務づけられており、サイト上に返品ポリシーを明記する必要があります。こうした制度のもと、試着後にサイズが合わない商品を気軽に返品するといった文化も根づいているため、返品そのものを避けることは現実的ではありません。


返品が発生するとさらにコストがかさむ

返品対応が避けられない以上、実際に返品が発生した際にどの程度のコストがかかるのかを具体的に把握しておく必要があります。


株式会社NEXERとReturn Helper株式会社が共同で実施した調査で「海外からの返品1件あたりの平均コスト(送料+手数料)はどのくらいですか?」と尋ねたところ、最も多かったのは「3,000円〜5,000円未満」で4割でした。


【海外からの返品1件あたりの平均コスト(送料+手数料)】


平均コスト(送料+手数料)/1件あたり

回答割合(n=20)

1位

3,000円~5,000円未満

40%

2位

1,000円~3,000円

35%

3位

1,000円未満

15%

※調査期間:2026年5月18日 ~ 5月24日

※調査対象者:事前調査で「越境ECに関わる業務経験がある」と回答した全国の男女20名


また「返品対応のフロー完了までにかかる平均日数はどのくらいですか?」という質問には「3日〜1週間未満」との回答が4割を占め、対応に一定の時間がかかっている実態がうかがえます。


「海外返品で最も困っていること・負担に感じていることは何ですか?」という質問では「返送料が高い」と「返品商品の状態確認に時間がかかる」が、それぞれ3割で最多となりました。


こうした結果から、返品を国内と同じ感覚でとらえると、想定以上にコストと時間がかかってしまう可能性が高いといえるでしょう。返品対応にかかる負担をあらかじめ見込んだうえで、収益計画を立てておくことが欠かせません。



国や地域ごとに異なる対応が必要

進出先の国や地域によって、法律や商習慣、消費者の求める対応は異なります。たとえば、EU域内で適用される個人情報保護のルールや、化粧品・食品などを米国や中国で販売する際に必要となる許認可など、国ごとに異なる規制への対応が求められる場合があります。また、欧米の消費者だからといって国際配送に慣れているわけではありません。


返送先を日本に指定するだけの対応では、コストと顧客満足度の両面で望ましいとはいえないでしょう。返品対応の質は、その後のリピート購入にも影響します。進出先ごとの実情に合わせた体制づくりが求められます。



越境ECの出店方法

越境ECをはじめるにあたっては、いくつかの出店方法があります。それぞれの特徴を理解し、自社の商品や体制に合った方法を選ぶことが大切です。


自社サイトを立ち上げる

自社で越境EC専用のサイトを構築する方法です。

デザインや販売方法を自由に設計できるほか、モールに支払う手数料がかからないため、利益率を高めやすい点がメリットです。ブランドの世界観をそのまま伝えられる自由度の高さも魅力といえます。


一方で、サイトの多言語化や決済手段の整備、集客のための施策を自社で担う必要があり、軌道に乗るまでに一定の時間と労力がかかります。すでに国内で自社ECサイトを運営している場合は、そのノウハウを活かせるため、比較的スムーズに立ち上げやすい方法でもあります。購入者のデータを自社で直接蓄積できる点も、長期的にはモール型にない強みです。


海外モールを利用する

現地で知名度のあるECモールに出店する方法です。

eBayや、東南アジアで利用者が多いShopee、ハンドメイド・ヴィンテージ品に強いEtsyなど、現地で広く使われているモールを活用すれば、進出直後から一定の集客が見込めます。モール側に集客力があるため、自社サイトをゼロから育てるよりも早く顧客と出会える可能性があります。


決済手段や配送のサポート体制がモール側に用意されている場合も多く、越境ECに不慣れな段階でも運営を始めやすい点がメリットです。ただし、出店料や販売手数料がかかるほか、モールの規約に沿った運営が求められるため、価格や見せ方の独自性を出しにくい面もあります。



国内モールを利用する

国内の大手ECモールが提供する「海外販売機能」を利用する方法です。

すでに国内モールで運営している場合は、追加の申し込みだけで越境ECを始められることもあり、比較的手軽に着手できる点が特徴です。


海外向けページが機械翻訳などで自動生成される仕組みを備えているモールもあり、初めて越境ECに取り組む企業にとって利用しやすい選択肢といえます。一方で、対応できる国や地域がモールの仕様に左右される点には留意が必要です。海外での知名度づくりよりも、まずは越境ECの基本的な流れを試してみたい場合に向いている方法です。


現地企業に卸す

現地の卸業者や小売店に商品を買い取ってもらい、現地企業を通じて販売してもらう方法です。現地での販売網や商習慣に関する知識を持つパートナーに委ねられるため、自社で複雑な手続きを行う必要がない点がメリットです。


現地での在庫リスクや代金回収を卸先が引き受けてくれる場合もあり、初めて海外に商品を送り出す際の負担を抑えられます。


一方で、顧客と直接つながる機会が少なく、価格設定や販売方法の自由度は下がる傾向にあります。買い取り型か委託販売型かによって代金が確定するタイミングも変わるため、契約条件の確認が欠かせません。





越境ECの主な物流体制

越境ECでは、商品をどのように海外の顧客に届けるかによって、コストや顧客満足度が大きく変わります。ここでは代表的な3つの方法を紹介します。


国内から直接配送する

日本国内の倉庫から、注文のたびに商品を海外へ直接発送する方法です。

在庫を国内で一元管理できるため運用がシンプルで、新たに海外へ拠点を設ける必要もありません。取り扱う商品点数が少ない場合や、まずは小さく始めてみたい場合に向いています。


一方で、配送先の国が増えるほど送料がかさみ、配送日数も長くなりやすくなります。配送業者によって対応可能な国や日数、追跡サービスの有無が異なるため、比較検討が欠かせません。返品が発生した際には国際輸送をともなう分、コストと時間の負担も大きくなる点には注意が必要です。


対象国内に物流拠点を構える

販売先の国にあらかじめ商品をまとめて送っておき、現地の倉庫から顧客へ配送する方法です。


現地からの発送になるため配送日数を短縮でき、返品を受け取る際も国内への返送を待たずに現地で対応できます。返送された商品を現地の倉庫で検品したうえで再び販売できれば、廃棄によるロスを抑えつつ利益を確保しやすくなります。


取り扱う商品の種類が多い場合や、配送スピードを重視したい場合、返品対応まで含めて現地で完結させたい場合に適した方法です。ただし、現地に在庫を保有する分、需要予測を誤ると過剰在庫や機会損失につながる点には注意が必要です。


アウトソーシングする

物流や返品対応の実務を、専門の物流パートナーに委託する方法です。


現地に自社で拠点を持たなくても、パートナーが持つ倉庫網や配送網を活用できるため、少人数でも越境ECの運用を成立させやすくなります。海外配送だけを請け負うパートナーもあれば、返品後の検品や再販売、廃棄までを一括して担うパートナーもあります。



Return Helperでは、世界17か国の現地倉庫を活かし、返品の受け取りから検品、再販売、廃棄までをワンストップで支援しています。とくに、返品された商品を現地で検品したうえで再販売できる仕組みは、返品率が高い市場でも利益を残すための鍵となります。自社の商材や販売量に応じて、直送・現地倉庫・アウトソーシングを組み合わせながらご検討ください。



越境ECの主な決済手段

越境ECで販路を広げるためには、進出先の国の消費者が使い慣れた決済手段を用意することが重要です。


たとえば中国では、AlipayやWeChat Payといったモバイル決済が広く普及しており、これらに対応していないと購入のハードルが上がります。

米国ではクレジットカードに加えて、PayPalや、購入後に分割払いができるBNPL(後払いサービス)の利用も進んでおり、若い世代を中心に支持を集めています。


ヨーロッパでは、銀行口座から直接引き落とすSEPA決済や、後払い決済サービスのKlarnaなどが主流となっている国もあり、進出先ごとに異なる決済文化への対応が求められます。

使い慣れない決済手段しか用意されていないと、購入の直前で離脱してしまう「カゴ落ち」につながりかねません。


決済手段の充実は、単なる利便性の向上にとどまらず、サイトへの信頼感にも直結します。進出先の消費者にとって身近な決済手段を取り入れ、購入から支払いまでの導線をスムーズにすることが、越境ECの成果を左右する重要な要素となります。


あわせて、現地通貨での価格表示に対応しておくと、購入時の金額をその場で把握できるため、離脱の防止にもつながります。




越境ECをはじめるための準備と手順

ここでは、実際に越境ECをはじめるまでの流れを、時間軸に沿って解説します。



1:販売する商品を決める

まずは、どの商品を海外向けに販売するかを検討します。現地の消費者からの需要が見込まれるか、輸出にあたって規制の対象となる商品ではないかを確認したうえで、対象商品を絞り込みます。


すでにSNSなどで海外から反応を得ている商品があれば、参入初期の候補として優先的に検討する価値があります。サイズや重量、破損のしやすさといった配送のしやすさも、対象商品を絞り込むうえで見落とせない視点です。


2:ターゲット国を決める

販売する商品が決まったら、進出先の国や地域を検討します。市場規模だけでなく、競合の状況や自社商品との相性もふまえて選定することが大切です。あわせて、現地の消費者の嗜好や購買行動の傾向を調べておくと、その後の商品ページづくりやプロモーションにも活かせます。


3:現地の法律や税制、商習慣を確認する

進出先の法律や税制、消費者保護に関する規制、商習慣を確認します。化粧品や食品などは国ごとに異なる規制の対象となる場合があるため、事前の確認が欠かせません。


また、絶滅のおそれのある動植物の国際取引を制限するワシントン条約の対象品目や、輸出貿易管理令にもとづく規制品に該当しないかも確認しておく必要があります。確認を怠ると、商品が税関で止まってしまうおそれがあります。




4:出店方法を決める

商品やターゲット国、現地の規制などを踏まえたうえで、自社サイト・海外モール・国内モール・現地企業への卸のなかから、自社に合った出店方法を選びます。


小さく始めたい場合は国内モールの海外販売機能から着手し、扱う商品数や販売量が増えてきた段階で海外モールへの出店や現地企業への卸を検討するなど、目指す規模に応じて選び方は変わります。


5:決済手段を用意する

出店方法が決まったら、進出先の消費者が使い慣れた決済手段を導入します。

クレジットカードだけでなく、現地で普及しているモバイル決済やBNPLなどにも対応できるよう準備しておくと、購入のハードルを下げられます。決済手数料や入金までのサイクルは決済手段ごとに異なるため、あわせて比較しておくと資金繰りの見通しも立てやすくなります。


決済手段は、一度導入して終わりではありません。現地の主流が変化していないか、定期的に見直す姿勢も大切です。


6:物流体制を整える

最後に、商品を海外の顧客へ届けるための物流体制を整えます。

自社で国内から直接配送する方法のほか、現地倉庫の活用や物流パートナーへのアウトソーシングも選択肢です。あわせて、返品を受け取ったあとの検品や再販売、廃棄までを含めたフローをあらかじめ決めておくと、慌てずに対応できます。


Return Helperでは、世界17か国の現地倉庫を活かした返品対応から、輸出手続きを含めた物流体制の構築までを支援しています。返品対応まで見据えて体制を整えておくことで、参入後のオペレーションがスムーズになります。



まとめ

越境ECは、国内市場の成長が鈍化するなかで、新たな販路を切り拓く手段として注目されています。世界的に市場規模の拡大が続いており、日本製品への需要も存在します。


一方で、輸送コストや返品対応は避けて通れない課題です。しかし、返品を負担ではなく、顧客満足度と利益率を両立させる武器としてとらえれば、越境ECの成果は大きく変わります。現地での検品や再販売までを見据えた体制を整えておくことで、返品が発生しても利益を残せます。


物流と返品対応の壁を越えられれば、越境ECは着実な成長を後押しする市場となるでしょう。Return Helperは、世界17か国の倉庫網と現地での検品・再販売のノウハウを活かし、返品対応から物流体制の構築までを支援しています。参入や体制の見直しを検討している方は、お気軽にご相談ください。


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