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越境ECにおける関税のルール丨国・地域ごとの違いや税率の調べ方・注意点を解説

越境ECで海外展開を検討する際、避けて通れないのが関税です。


国内EC市場の成長が鈍化するなか、海外市場への進出を模索する企業にとって、関税制度の理解は事業計画の成否を左右する重要な要素となります。


とくに、2025年8月に米国でデミニミス措置が終了し、すべての貨物が課税対象となったことで、越境EC事業者は従来の販売戦略や価格設計の見直しを迫られています。関税は単なる追加コストではなく、販売価格、配送時の顧客負担、購入後の満足度、収益性にも直結します。


国や地域ごとに異なる関税制度を正しく把握することで、価格競争力を維持しながら、顧客にとって納得感のある越境ECを展開しやすくなります。


本記事では、越境ECにおける関税の基本から、国・地域別の制度、税率の調べ方、実務上の注意点まで解説します。


そもそも関税とは?

関税とは、海外から商品を輸入する際に課される税金です。


国内産業を保護するため、輸入品に対して国境で課税し、国産品との価格競争力を調整する役割を担っています。越境ECでは、関税が商品価格に上乗せされるため、顧客の購買意欲や事業者の利益率に直接影響します。


とくに注意すべきなのは、2025年8月に米国で実施された制度変更です。従来、800米ドル以下の少額貨物については、関税が免除される「デミニミス措置」が適用されていましたが、この措置が終了しました。


さらに、トランプ政権による相互関税の導入により、すべての貨物が課税対象となっています。米国向けの越境ECでは、関税や税金を含めた価格での販売(DDP)が事実上必須となり、最新の制度を前提とした事業計画の見直しが求められます。


関税の存在を知らずに購入した顧客が、商品到着時に追加費用を請求されると、受取拒否やクレームにつながる可能性があります。このような顧客対応上の課題を回避するためには、事前の情報提供が重要です。


とくに海外顧客の場合は、言語の壁もあり、関税に関する理解が不十分なケースが多いため、視覚的にもわかりやすい表示が求められます。


出典:税関「関税のしくみ」(https://www.customs.go.jp/shiryo/kanzei_shikumi.htm)


関税の主な種類

関税には、課税方式によって主に「従価税」「従量税」「混合税」の3つの種類があります。それぞれ計算方法や対象となる品目が異なるため、越境ECで商品を販売する際は、どの方式が適用されるかを事前に確認しておくことが重要です。


種類

課税方式

具体例

主な対象品目

従価税

商品価格に対して一定の税率をかけて算出する方式

商品価格が10万円で税率が10%の場合、関税額は1万円

アパレル、電化製品など

従量税

商品の重量や数量を基準に課税する方式

1kgあたり○○円、1個あたり○○円など

酒類、石油製品など

混合税

従価税と従量税を組み合わせた方式

商品価格の10%、または1kgあたり100円のいずれか高い方を適用

品目によって異なる


どの方式が適用されるかは、国際的な商品分類コードであるHSコードによって決まります。同じ商品でも国によって方式や税率が異なるため、販売先ごとに確認が必要です。


関税は基本的に購入者が負担する

原則として、関税は商品を輸入する購入者、つまり受取人が負担します。商品が到着した際に税関で関税額が計算され、配送業者を通じて購入者に請求される仕組みです。


ただし越境ECでは、販売者が関税を負担する「DDP(Delivered Duty Paid)」と、購入者が関税を負担する「DAP(Delivered at Place)」という2つの取引条件があります。


DAPでは、販売者は指定場所までの輸送費用を負担しますが、関税や輸入通関にかかる費用は購入者の責任となります。購入者は商品到着時に追加で関税を支払う必要があるため、予期せぬ費用として受け止められ、受取拒否につながるリスクがあります。


一方、DDPでは販売者が関税を含むすべての費用を負担し、購入者は表示価格のみで商品を受け取れます。購入者にとって安心感がありますが、販売者側は関税コストを事前に正確に計算し、価格に織り込む必要があります。


そのため、2025年の米国デミニミス撤廃以降は、関税を販売者側で負担するDDPのニーズが広がっています。すべての貨物が課税対象となったことで、購入者負担では受取拒否につながるリスクが高まり、事業者の利益を大きく圧迫するケースも増えています。


顧客体験を重視する事業者にとって、関税を含めた総額表示は競争力を高める重要な要素です。


国・地域別の関税制度

関税制度は、国や地域によって大きく異なります。販売先の制度を正確に把握することで、価格設定やオペレーション設計の精度が高まり、収益性を確保できます。


中国

中国の関税制度は複雑で「最恵国税率」「暫定税率」「協定税率」「特恵税率」「普通税率」の5種類に分類されます。日本からの輸入品には、WTO加盟国として最恵国税率が適用されます。


越境ECでは、配送方法によって「行郵税」と「越境EC総合税」のいずれかが適用されます。


行郵税

行郵税は、個人利用目的で国際郵便などを利用して直接配送する場合に適用される税金です。関税・増値税・消費税を統合したもので、税率は商品カテゴリーによって13%、20%、50%の3段階に分かれます。


行郵税額が50元以下の場合は免税となります。1注文あたりの上限は1,000元までですが、分割できない商品の場合は5,000元まで認められます。



越境EC総合税

越境EC総合税は、中国の保税倉庫を利用して商品を配送する場合に適用される優遇税制です。対象となるのは、ポジティブリストに掲載された商品のみです。


税率は商品カテゴリーによって異なり、主に以下のように分類されます。


税率

主な対象商品

9.1%

食品、化粧品、電化製品、衣類、おもちゃなど

17.9%

ワイン、ジュエリー、ゴルフボールなど

23.1%

香水、高級化粧品など


1注文あたり5,000元以下、年間26,000元以下という上限が設定されています。この範囲内であれば関税0%となり、輸入増値税率と消費税率を適用した課税額の70%が徴収されます。


出典:JETRO「中国における越境ECの概要と留意点:中国向け輸出」(https://www.jetro.go.jp/world/qa/J-210602.html)


アメリカ

アメリカの関税は、HTSコード(Harmonized Tariff Schedule)にもとづき、商品ごとに「一般税率」「特別税率」「法定税率」の3区分で設定されています。日本からの輸入品には、原則として一般税率が適用されます。


2025年8月以前は、800米ドル以下の少額貨物について、関税が免除されるデミニミス措置が適用されていました。しかし、このデミニミスルールの適用が停止され、これまで免税対象だった800米ドル以下の少額貨物にも関税が課されるようになりました。


さらに、トランプ政権による相互関税政策も導入されており、米国向け越境ECでは関税負担を前提とした価格設計が必要です。


関税額は商品カテゴリーや価格によって異なりますが、アパレルは10〜20%程度、電化製品は0〜5%程度が一般的です。米国向け越境ECでは、関税負担に加えて、顧客の受取拒否を防ぐための配送オペレーション設計が重要な経営課題となっています。


出典:JETRO「米国 関税制度」(https://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/trade_03.html)

出典:JETRO「トランプ米大統領、全世界に非課税基準額(デミニミス)ルール適用を停止する大統領令発表」(https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/08/7ab60987e710800e.html)

出典:JETRO「米税関、非課税基準額(デミニミス)ルール廃止に伴い、国際郵便貨物の関税支払いガイダンスを発表」(https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/08/869db5ba7aecf188.html)

出典:世界貿易機関「Tariffs and imports: Summary and duty ranges 」(https://www.wto.org/english/res_e/statis_e/daily_update_e/tariff_profiles/US_e.pdf )


韓国

韓国の関税制度は、WTO譲許税率が基本です。日本からの輸入品には、最恵国待遇として優遇税率が適用されるケースが多くあります。


韓国では、個人使用目的の少額貨物について、150米ドル以下であれば関税とVATが免除されます。150米ドルを超える商品には、品目ごとに設定された関税率に加えて、VAT10%が課されます。


少額貨物の免税範囲を超える場合は、商品ごとの関税率を確認する必要があります。アパレルは13%程度、電化製品は8%程度の関税率が一般的です。


ただし、税率はHSコードによって細かく設定されているため、事前確認が欠かせません。韓国は日本との経済関係が深く、越境EC市場も成長していることから、日本製品への需要が高い市場といえます。


出典:JETRO「韓国 関税制度」(https://www.jetro.go.jp/world/asia/kr/trade_03.html)

出典:世界貿易機関「Tariffs and imports: Summary and duty ranges 」(https://www.wto.org/english/res_e/statis_e/daily_update_e/tariff_profiles/KR_e.pdf )


台湾

台湾の関税制度は、カラムⅠ(互恵待遇)とカラムⅡ(非互恵待遇)に分かれています。日本は互恵待遇国に該当するため、比較的低い税率が適用されます。


少額貨物については、2,000台湾ドル(約9,000円)以下であれば関税が免除されます。一方、2,000台湾ドルを超える商品には、品目ごとの関税に加えて、VAT5%が課されます。


台湾は、日本との経済関係が深く、日本製品への信頼度も高いため、関税面での参入障壁は比較的低い市場といえます。とくに化粧品、健康食品、アパレルなどの日本製品は人気が高く、越境ECに適した市場です。


出典:JETRO「台湾 関税制度」(https://www.jetro.go.jp/world/asia/tw/trade_03.html)


シンガポール

シンガポールは自由貿易を重視しており、多くの商品カテゴリーで関税率が0%に設定されています。ただし、酒類やタバコなどの嗜好品には物品税(Excise Duty)が課されます。


2023年以前は、400シンガポールドル以下の少額商品について、GST(消費税)が免除されるケースがありました。しかし、2023年1月から少額輸入品へのGST免除措置が見直され、現在は原則としてすべての輸入品にもGST9%が課されます。


日本とのJSEPA(日本・シンガポール経済連携協定)により、対象品目では関税面で優遇を受けられる場合があります。シンガポールは東南アジアのハブとして物流インフラが整っており、越境ECの拠点としても活用しやすい市場です。


出典:JETRO「シンガポール 関税制度」(https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/trade_03.html)

出典:世界貿易機関「Tariffs and imports: Summary and duty ranges 」(https://www.wto.org/english/res_e/statis_e/daily_update_e/tariff_profiles/sg_e.pdf )


マレーシア

マレーシアの関税率は、品目によって0%から最大60%まで幅広く設定されています。電化製品やアパレルは、5〜20%程度が一般的です。


オンライン市場で販売され、マレーシアに配送される500リンギット(約15,000円)以下の低価格商品については、2024年1月1日から売上税(SST)10%が課されるようになりました。少額貨物であっても、越境ECでは税負担が発生する点に注意が必要です。


日本とのJMEPA(日本・マレーシア経済連携協定)により、対象品目では関税の減免措置を受けられる場合があります。マレーシアは人口増加と経済成長が続いており、中間層の消費拡大が見込める市場です。


出典:JETRO「マレーシア 関税制度」(https://www.jetro.go.jp/world/asia/my/trade_03.html)

出典:JETRO「マレーシア 税制」(https://www.jetro.go.jp/world/asia/my/invest_04.html)

出典:JETRO「500リンギ以下の少額オンライン輸入にも売上税、4月から」(https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/01/79bd94422e4272ea.html)


インドネシア

インドネシアの輸入関税率は、品目の性質に応じて0%から上限200%まで設定されており、国内産業保護の観点から、一部品目では比較的高い水準となっています。アパレルは15〜25%、電化製品は5〜15%程度が一般的です。


国際郵便・国際宅配便を利用した小口貨物については、1送付当たりのFOB金額が3米ドルまで輸入関税が免除されます。ただし、VATは課税されるため注意が必要です。


3米ドルを超える小口貨物では、金額に応じて課税方法が変わります。

3米ドル超1,500米ドルまで:原則として7.5%の輸入関税とVATがかかります。

1,500米ドル超:品目ごとの関税率にもとづいて課税されます。

VAT:2025年1月1日から12%ですが、多くの品目では実質11%とされています。


日本とのIJEPA(日本・インドネシア経済連携協定)により、対象品目では関税の減免を受けられる場合があります。インドネシアは人口2.8億人を超える巨大市場で、若年層が多く、EC市場の成長ポテンシャルが高い国です。


出典:JETRO「インドネシア 関税制度」(https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/trade_03.html)

出典:JETRO「小口貨物の通関制度:インドネシア」(https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-061106.html)

出典:世界貿易機関「Tariffs and imports: Summary and duty ranges 」(https://www.wto.org/english/res_e/statis_e/daily_update_e/tariff_profiles/id_e.pdf)


EU

EU域内は関税同盟を形成しており、域外からの輸入品には共通の関税率が適用されます。150ユーロ以下の商品は関税が免除されますが、金額にかかわらずVATは課されます。


VAT率は国によって異なり、ドイツ19%、フランス20%、イタリア22%、スペイン21%などとなっています。150ユーロを超える商品には、関税とVATの両方がかかります。


150ユーロ以下の商品については、2021年に導入されたIOSS(Import One Stop Shop)制度を利用することで、VATの申告・納付手続きを簡素化できます。


プラットフォーム事業者が「みなし供給者」として一括でVATを納付するケースもあり、購入者にとっては商品受取時の追加請求を避けやすくなります。


一方、自社でIOSSに登録しない場合やIOSSに対応していない販売方法では、購入者が商品受取時に配送業者からVATを請求されることがあります。そのため、追加費用への不満や受取拒否につながるリスクに注意が必要です。


出典:JETRO「EU 関税制度」(https://www.jetro.go.jp/world/europe/eu/trade_03.html)

出典:European Commission「VAT One Stop Shop」(https://vat-one-stop-shop.ec.europa.eu/index_en)


各国の関税率を調べる方法

越境ECで収益性を判断するには、販売する商品の正確な関税率を事前に把握しておく必要があります。


ここでは、実務で活用できる代表的な関税率の調査ツールを紹介します。


World Tariff

World Tariffは、FedExが提供する関税率情報データベースです。世界各国の関税率を、品目ごとに検索できます。


JETROの会員であれば無料で利用できるため、コストを抑えながら詳細な関税情報を入手できます。商品のHSコードを入力することで、輸出先国での関税率や必要書類、規制情報などを確認できます。


複数国への展開を検討している場合は、このツールを活用して各国の関税率を比較し、参入優先度を判断する際の参考にできます。


出典:JETRO「関税率などを調べる」(https://www.jetro.go.jp/theme/export/tariff/)


Rules of Origin Facilitator

Rules of Origin Facilitatorは、世界税関機構(WCO)などが提供する原産地規則の検索ツールです。EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)による関税削減・免除の適用条件を確認できます。


日本が締結している経済連携協定を活用すると、通常より低い税率が適用される場合があります。対象となる商品であれば、関税コストの削減につながります。


ただし、協定を活用するには、原産地証明書などの書類準備が必要です。適用条件や必要書類は協定によって異なるため、事前に手続きを確認しておく必要があります。


出典:Rules of Origin Facilitator(https://findrulesoforigin.org/)


Harmonized System(HS)コード

HSコードは、国際貿易で使用される商品分類コードです。世界共通の6桁に、各国が独自の桁を追加して使用します。関税率はこのコードにもとづいて決定されるため、正確な分類が欠かせません。


日本の税関では、輸入統計品目表(実行関税率表)でHSコードと税率を確認できます。米国では、HTSコード検索ツールが提供されています。


HSコードの特定は、すべての関税調査の起点です。間違ったコードで分類すると、通関時のトラブルや、想定外の高額な関税につながる可能性があります。


判断が難しい場合は、税関の事前教示制度を利用して、正式な分類を確認すると安心です。


出典:税関「輸入統計品目表(実行関税率表)」(https://www.customs.go.jp/tariff/)


越境ECでは日本の消費税が免除される

越境ECにおいて、海外向けに商品を販売する輸出取引は、日本の消費税が免除されます。この制度を正しく理解し、活用することで、海外市場での価格競争力を高められます。


輸出免税とは

輸出免税とは、日本国内から海外へ商品を輸出する際、消費税が課されない制度です。


消費税は国内での消費に対して課される税金であり、海外で消費される商品には課税されないという考え方にもとづいています。


越境ECで海外の顧客に販売する商品は、原則として輸出取引とみなされるため、日本の消費税10%が免除されます。これにより、国内販売とは異なる価格設計が可能となり、海外市場での価格競争力を高める要素になります。


また、国内で商品を仕入れる際に支払った消費税については、課税事業者であれば、一定の要件を満たすことで仕入税額控除や還付の対象となる場合があります。


消費税の還付を受けるには

輸出免税の適用を受けるには、その取引が輸出であることを証明する必要があります。具体的には、輸出許可書や輸出の事実を証明する書類を、7年間保存しなければなりません。


すでに消費税を支払って商品を仕入れている場合は、輸出免税の適用により、仕入れ時に支払った消費税の還付を受けられる場合があります。ただし、還付を受けるには、課税事業者であることが前提です。


輸出許可書などの証明書類は、税務調査で必ず確認される重要な書類です。保存義務を怠ると、還付が認められないだけでなく、追徴課税のリスクもあるため、適切な書類管理が不可欠です。


出典:国税庁「No.6551 輸出取引の免税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6551.htm)


越境ECの関税にまつわる注意点

関税に関する理解不足は、トラブルやコスト増の原因につながります。ここでは、実務上とくに注意すべきポイントを解説します。


ECサイト上に関税に関するルールを明記する

購入者が関税の存在を知らずに商品を購入すると、到着時の追加費用に驚き、受取拒否やクレームにつながる可能性があります。関税が発生する場合は、購入前に明確に告知することが重要です。


DAP(購入者負担)の場合は「関税・諸税は別途お客様負担となります」と明記し、おおよその金額目安も提示すると親切です。


DDP(販売者負担)の場合は「表示価格に関税・諸税を含みます」と記載することで、安心感を与えられます。


とくに海外顧客が多い越境ECでは、言語の壁もあり、関税に関する誤解が生じやすいため、視覚的にもわかりやすい表示が求められます。


商品ページだけでなく、カート画面やFAQにも同じ内容を記載しておくと、購入前の不安を軽減できます。結果として、問い合わせ対応の負担を減らすことにもつながります。


国ごとの最新情報をこまめに確認する

関税制度は頻繁に改正されます。2025年の米国デミニミス撤廃のように、大規模な制度変更が突然発生することもあります。


とくに貿易摩擦や経済情勢の変化により、特定国への関税率が引き上げられるケースも少なくありません。最新のニュースやJETROなどの公的機関が発信する情報を定期的にチェックし、事業計画への影響を早めに把握することが重要です。


また、FTAやEPAの発効・改定によって関税率が変わることもあるため、優遇措置を活用できるかどうかも継続的に確認しておきましょう。為替レートの変動も関税額に影響するため、円安・円高の局面では、想定以上にコストが変動する可能性があります。


販売開始後も、主要国の税率や通関ルールを定期的に見直すことが重要です。変更を見落とすと、利益率の低下や配送遅延につながるおそれがあります。


BtoCとBtoBでルールが異なる可能性がある

越境ECでは個人向け(BtoC)販売が中心ですが、法人向け(BtoB)取引では関税の扱いが異なる場合があります。


個人利用目的の少額貨物には、簡易通関や免税措置が適用されることがあります。一方、商業目的の輸入と判断されると、一般貿易として扱われ、通常の関税率や通関手続きが適用される場合があります。


中国の行郵税と越境EC総合税のように、配送方法や取引形態によって適用される税制が変わるケースもあります。同じ商品でも、購入者が個人か法人かによって税率が変わることがあるため、販売形態に応じて事前に確認しておくことが重要です。


BtoBでは、輸入者登録や通関書類の提出が求められる場合もあります。あらかじめ取引先に確認すべき項目を整理しておくことで、通関時のトラブルを防ぎやすくなります。


付加価値税(VAT)が別途課される可能性がある

関税とは別に、VAT(付加価値税)が課される国も多くあります。VATは日本の消費税に相当する税金で、世界150か国以上で導入されています。


EUでは、金額にかかわらずVATが課され、税率は国によって19〜27%と高水準です。関税が免除される少額商品でも、VATは原則として課されるため、総コストに含めて考える必要があります。


韓国、台湾、シンガポール、マレーシアなどでも、関税とは別にVATや販売税が課されます。関税率だけでコストを計算すると、実際の着地価格が大きく上がってしまう可能性があります。


価格設定の際は、関税、VAT、配送料をすべて含めた総額で収益性を判断することが重要です。とくにEU向けではVAT率が高いため、商品価格の20〜30%程度が税金として上乗せされるケースもあります。


出典:国税庁「税の学習コーナー」(https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page13.htm)


まとめ

越境ECにおける関税は、国や地域によって制度が大きく異なります。


2025年の米国デミニミス撤廃のように、制度変更が事業に大きな影響を与えることもあります。関税に関する知識は、単なるリスク回避にとどまらず、コスト最適化や収益性確保のための重要な戦略要素です。


越境EC事業を成功させるには、関税制度への対応だけでなく、受取拒否時の対応や国際物流コストの管理など、総合的な視点が欠かせません。とくに、顧客体験を損なわずに収益性を確保するオペレーション設計が、事業拡大の鍵となります。


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また、現地キャリアとのシステム連携により、事業者が各国の配送会社と個別に契約する手間を抑えながら、Amazon、eBay、Shopifyなど複数チャネルの物流管理を効率化できます。


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