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越境ECの物流はどう構築する?重要性や課題・配送方法・業者の選び方を解説

越境ECを始めたいものの「物流をどう構築すればよいかわからない」と感じていませんか。


配送業者の選び方に迷い、返品対応のコストが気になる方も多いはずです。物流体制を後回しにすると、コスト増や配送トラブルで顧客満足度が下がり、海外展開が伸びにくくなります。


そこで本記事では、物流の重要性を整理し、発送手段、配送業者の選び方、よくある課題と解決策を実務目線で解説します。


越境ECにおける物流の重要性

越境ECにおいて、物流は単なる商品の配送手段ではありません。顧客満足度や収益性に直結する、ビジネスの根幹を支える重要な要素です。


経済産業省が発表した「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、越境EC市場は年々拡大を続けています。たとえば、2024年の中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は前年比8.5%増の2兆6,372億円でした。


市場規模の拡大とともに、物流体制の整備が事業成功の鍵となっています。


では、なぜ越境ECにおいて物流がこれほど重要なのでしょうか。ここからは、その理由を3つの観点から見ていきましょう。


出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005.html)


物流コストが利益に直結するため

越境ECでは、国際送料に加えて通関費用や返品時の国際送料などが発生するため、国内配送より物流コストが大幅に高くなります。


日本政策金融公庫の2022年調査でも、事業者の52.9%が今後の課題として物流コストの削減を挙げています。物流コストの見積もりを誤ると、売れても利益が残りにくくなります。


たとえば、商品価格が5,000円で配送料が2,000円かかると粗利は圧迫され、返品が起きれば往復送料で利益が消える場合もあります。


一方で、配送業者の選定と配送方法の最適化により、負担は抑えられます。複数の配送手段を確保し、商品特性や配送先に応じて使い分けることが重要です。


日数や送料がユーザーの意思決定を左右するため

海外の消費者は、配送日数と送料を重視してECサイトを選びます。商品が魅力的でも、配送に2週間以上かかったり、送料が商品価格に近い水準になったりすると、購入をためらってしまいます。


競合と比べたとき、配送スピードと送料は差別化の軸になります。とくに、米国や中国などの大規模市場では、現地のECサイトと比較して見劣りする配送条件だと、顧客を獲得しにくくなります。


配送日数を短縮するには、現地倉庫の活用や配送ルートの見直しが有効です。あわせて、一定金額以上の購入で送料無料にするなど、送料の負担を軽くする施策を用意すると、顧客満足度の向上につながります。


品質が顧客満足度や信用に影響するため

国際配送では、長距離輸送や複数回の積み替えが発生するため、商品の破損や紛失のリスクが高まります。商品が無事に届かなければ、顧客からの問い合わせやクレームにつながり、リピート購入も見込みにくくなります。


そのため、梱包の品質が重要です。海外では日本より荷物の取り扱いが乱雑になりやすく、一般的な梱包では輸送中に破損するおそれがあります。強度の高い梱包材を使い、商品に合わせて固定や緩衝を工夫すると、破損リスクを抑えやすくなります。


さらに、追跡サービスの提供も欠かせません。荷物の配送状況を確認できれば、顧客は到着までの見通しを立てやすくなり、不安を感じにくくなります。


出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005.html)

出典:日本政策金融公庫「越境ECに関するアンケート調査結果(図表5:開始前の課題)」(https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_220215a.pdf)


越境ECで用いられる主な発送手段

越境ECには複数の発送手段があります。どの方法にもメリットとデメリットがあるため、自社の事業規模や商品特性、ターゲット市場に合わせて選ぶことが重要です。


また、事業の成長段階によって適した発送方法も変わります。次の比較表を参考にしながら、自社の状況に合う方法を検討してください。


【発送方法の比較表】

項目

直送(ダイレクトライン)

現地倉庫活用

物流アウトソーシング

適した事業規模

スタートアップ期

拡大期(月間出荷件数が一定数を超えた段階)

スタートアップ期〜拡大期

初期投資

低い

高い(倉庫賃料・設備費)

低い〜中程度

配送コスト

高い(1件ごとに国際送料)

低い(現地配送料金)

中程度(スケールメリットあり)

配送日数

長い(1〜2週間以上)

短い(数日程度)

業者により異なる

在庫管理

シンプル(国内で一元管理)

複雑(複数拠点管理)

業者に委託

通関手続き

毎回必要

まとめ配送時のみ

業者が代行

メリット

・初期投資を抑えてスタート可能

・在庫を国内で一元管理

・配送スピードが速い

・1件あたりの送料が安い

・国内EC並みの顧客体験

・専門知識不要

・複数顧客の物量集約で割引率向上

・リソースをコア業務に集中

デメリット

・個別配送コストが高い

・配送日数が長い

・初期費用・維持費用が高い

・在庫管理が複雑

・委託手数料が発生

・自社にノウハウが蓄積しにくい


ここでは、越境ECで一般的に用いられる4つの発送手段を解説します。


自社倉庫から個別に海外発送する

自社倉庫から海外の顧客へ直接発送する方法は、越境ECを始める際に取り組みやすい手段です。国内の倉庫から注文ごとに海外へ発送するため、初期投資を抑えてスタートできます。


この方法のメリットは、在庫を国内で一元管理できる点です。複数の国に販売する場合でも、在庫を分散させる必要がなく、在庫管理が複雑になりにくくなります。事業規模が小さい段階では、自社でオペレーションをコントロールしやすい点も利点です。


一方で、配送コストは高くなりがちです。個別配送では1件ごとに国際送料が発生するため、出荷件数が増えるほど負担が大きくなります。配送日数も長くなりやすく、顧客の手元に届くまでに1〜2週間以上かかるケースもあります。


そのため、スタートアップ期や越境ECの売上規模がまだ小さい段階では、この方法が向いています。事業が成長して一定の物量が見込めるようになったら、次に紹介する現地倉庫の活用も検討するとよいでしょう。


対象国の保税倉庫や現地倉庫から個別発送

販売対象国に保税倉庫や現地倉庫を確保し、そこから個別発送する方法があります。あらかじめ商品をまとめて現地へ送り、注文が入ったら現地倉庫から配送する仕組みです。


現地から発送するため配送リードタイムを短縮でき、国内ECに近いスピードで届けやすくなります。数日で届く体験は、顧客満足度の向上にもつながります。


さらに、現地配送は国内配送と同じ扱いになりやすく、国際送料よりコストを下げられる場合があります。通関も商品をまとめて現地へ送る段階で対応しやすくなるため、個別配送ごとの手間を減らせます。


一方で、倉庫の賃料や在庫管理費、人件費などの固定費が発生し、出荷件数が少ない段階では採算が合いにくくなります。在庫を分散させることで、管理が複雑になりやすい点にも注意が必要です。


販売が安定し、月間出荷が一定数を超えて在庫が滞留しにくくなった段階で、移行を検討するとよいでしょう。


アウトソーシングし、業者の国内倉庫から発送する

物流代行業者の国内倉庫に商品を預け、そこから海外へ発送してもらう方法です。自社で在庫を持たず、受注から梱包、発送、通関手続きまでを一貫して委託できます。


最大のメリットは、煩雑な物流業務の手間を減らし、商品開発やマーケティングなどのコア業務に注力しやすくなる点です。さらに、業者は複数の顧客の荷物をまとめて扱うため、自社で契約するより配送料金を抑えられる場合があります。


通関など、専門知識が必要な業務も支援を受けやすく、運用を進めやすい点が特徴です。一方で、委託手数料が発生し、ノウハウが自社に蓄積しにくいことには注意が必要です。定期レポートやデータ共有を依頼すれば、状況を把握しながら改善を進められます。


この方法は、スタートアップ期から拡大期まで検討しやすい選択肢です。


アウトソーシングし、業者の現地倉庫から発送する

物流代行業者が海外に保有する現地倉庫に商品を預け、そこから発送してもらう方法です。現地倉庫の利点とアウトソーシングのメリットを組み合わせた手法といえます。


現地から発送できるため、国内ECに近い配送日数を目指しやすくなります。そのうえで、自社で現地倉庫を運営する手間や固定費を抑えやすい点も利点です。


また、業者が複数の顧客の荷物をまとめて現地へ送ることで、輸送コストを下げられる場合があります。返品対応も現地で完結しやすくなり、国際返送が発生しにくいぶん、返品コストの削減にもつながります。


一方で、委託手数料に加えて現地倉庫の利用料がかかります。在庫を海外に置くため、在庫管理や需要予測の精度も求められます。


事業が拡大し、特定の国への販売が安定してきた段階で検討するとよいでしょう。とくに返品対応が課題の場合は、有効な選択肢になります。


越境ECの物流に対応している配送会社

越境ECで利用できる配送会社は、大きく日本郵便とクーリエ便(国際宅配便)の2種類に分けられます。それぞれの特徴を理解し、商品や配送先に応じて使い分けることが重要です。


日本郵便

日本郵便は、越境ECで利用しやすい配送手段です。全国の郵便局から発送でき、比較的低コストで海外に商品を送れます。


日本郵便が提供する主なサービスには、次のようなものがあります。


EMS(国際スピード郵便)

EMSは、日本郵便が提供する国際スピード郵便サービスです。世界120を超える国や地域に、2〜4日程度で配送でき、追跡サービスや損害賠償制度も付いています。


重量30kgまでの荷物を送ることができ、書類から商品まで幅広く対応しています。ただし、2025年の米国関税・規制変更の影響により、米国向け配送では関税を元払いで決済する「DDP(関税込み配送)」への対応が事実上不可欠となりました。


EMSは原則として受取人が関税を支払う仕組み(DDU)であるため、商用荷物の配送においては利用が大幅に制限されています。


出典:日本郵便株式会社「EMS」(https://www.post.japanpost.jp/int/ems/)

出典:日本郵便株式会社「米国関税及び規制変更に伴う米国宛て郵便物の一時引受停止について」(https://www.post.japanpost.jp/int/information/2025/0825_01.html)

出典:米ホワイトハウス「Suspending Duty-Free De Minimis Treatment for All Countries」(https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/07/suspending-duty-free-de-minimis-treatment-for-all-countries/)


船便

船便は、国際配送の中でも送料を抑えやすい手段です。配送日数は1〜3か月程度かかりますが、コストを優先したい場合に選ばれます。


重量や容積が大きい荷物や、急ぎではない荷物の配送に向いています。一方で、追跡サービスが付かない場合があり、破損や紛失のリスクにも注意が必要です。


出典:日本郵便株式会社「国際小包」(https://www.post.japanpost.jp/int/service/i_parcel.html)


航空便

航空便は、EMSより送料を抑えやすく、船便より速く届けられる配送手段です。配送日数は2〜3週間程度が目安で、世界各国に対応しています。


書留や保険を付ければ、一定の補償も受けられます。そのため、コストとスピードのバランスを取りたい場合に検討しやすい選択肢です。


eパケットライト

eパケットライトは、小型で軽量な商品の配送に向いたサービスです。重量2kg以下の荷物を、比較的安価に送れます。


2023年9月に国際eパケットが終了したあと、2025年3月から国際郵便物(航空優先大量郵便物)として取り扱いが再開されています。追跡サービスも利用できるため、小口の越境EC事業者にとって重要な選択肢です。


ただし、日本郵便のサービスは近年変化が大きくなっています。2025年の米国における関税・規制変更を受けて、低額輸入品への免税措置が停止され、米国向け郵便物の通関・関税徴収の運用も厳格化されました。 


その影響で、販売品を含む一部の米国宛て郵便物では引受停止などの制限が生じています。


サービスの利用可否や制約は変わることがあります。発送前には、必ず最新情報を確認することが重要です。


出典:日本郵便「eパケットライト」(https://www.post.japanpost.jp/int/service/epacketlight.html)

出典:日本郵便株式会社「米国関税及び規制変更に伴う米国宛て郵便物の一時引受停止について」(https://www.post.japanpost.jp/int/information/2025/0825_01.html)

出典:日本郵便株式会社「米国関税及び規制変更に伴う米国宛て郵便物差出時の注意について」(https://www.post.japanpost.jp/int/information/2025/0819_01.html)


クーリエ便(国際宅配便)

DHLやFedEx、UPSなどのクーリエ便(国際宅配便)は、スピードと信頼性に強みがある配送手段です。世界各地にネットワークを持ち、迅速な配送と手厚いサポートを提供しています。


一方で、クーリエは送料が高くなりやすく、日本郵便の2〜3倍以上になる場合があります。ただし、高単価商品を送る場合やスピードを重視する場合、重量物を扱う場合には有効です。米国向けでDDP(関税込み配送)対応が求められる場合も、現実的な選択肢になりやすいでしょう。


以下では、クーリエ便の代表的な事業者として、DHL、FedEx、UPSの3社を紹介します。


DHL

DHLは、世界最大級の国際物流企業です。220を超える国や地域に配送ネットワークを持ち、主要都市であれば2〜5日程度で配送できます。


追跡サービスが充実しており、荷物の状況をリアルタイムで把握できます。また、DDP(関税込み配送)にも対応しており、とくに米国向けの配送では重要な選択肢のひとつです。


さらに、通関手続きのサポートも手厚く、複雑な書類作成や税関とのやり取りを任せやすい点も特徴です。高額商品や納期を重視する配送に適しています。


FedEx

FedExは、米国を中心に強いネットワークを持つ国際物流企業です。迅速な配送と信頼性の高さで知られています。


とくに米国向けでは、現地の配送網が整っているため、スムーズな配送が期待できます。また、重量のある荷物や高額商品の発送にも対応しています。


DDP(関税込み配送)対応も進んでおり、通関手続きのサポートも受けやすくなっています。補償額も高く設定できるため、高価な商品を発送する際の選択肢になります。


UPS

UPSは世界220を超える国や地域に展開する国際物流企業で、安定した配送品質と追跡サービスの充実が特徴です。


主要都市なら2〜5日程度で届けられ、通関サポートやDDP(関税込み配送)対応も可能です。


越境ECで利用する配送業者の選び方

配送業者を選ぶ際は、いくつかのポイントを押さえる必要があります。送料の安さだけで判断せず、サービス全体を見て選ぶことが大切です。


また、商品やニーズに応じて複数の配送方法を確保しておくことをおすすめします。1社に依存すると、トラブルが起きた場合やサービス内容が変わった場合に、代替手段がなくなります。選択肢を複数持っておけば、状況に応じて切り替えやすくなります。


ここからは、配送業者を選ぶ際に確認したいポイントを解説します。


配送料金

配送料金は、越境ECの収益性に直結する重要な要素です。ただし、単に安い業者を選べばよいわけではありません。


料金体系を確認する際は、基本料金に加えて、燃油サーチャージや通関手数料、遠隔地配送料などの追加費用を含めた総額で比較することが重要です。見積もりの段階で、どの費用が変動しやすいのかも確認しておくと安心です。


また、配送量が増えるにつれて割引が適用される業者もあります。将来の事業拡大を見据え、ボリュームディスカウント(数量割引)の条件もあわせて確認するとよいでしょう。


配送可能なサイズと重量

配送業者によって、取り扱い可能なサイズや重量の上限が異なります。自社の商品が条件に収まるかどうかを、事前に確認しておく必要があります。


小型で軽量な商品を扱う場合は、日本郵便のeパケットライトなど、小口配送に向いたサービスが適しています。一方で、大型の商品や重量のある商品を扱う場合は、クーリエや貨物便の利用が基本になります。


また、今後の商品ラインナップを広げる可能性がある場合は、幅広いサイズと重量に対応できる業者を選んでおくと安心です。


配送日数

配送日数は、顧客満足度に大きく影響します。配送先の国や地域によって所要日数は変わるため、主要なターゲット国への目安を把握しておきましょう。


急ぎの荷物はクーリエを使い、コストを抑えたい荷物は日本郵便を使うなど、日数と料金のバランスを見ながら使い分けると効果的です。


また、繁忙期や天候不良の際は遅延が起こりやすくなります。どの程度遅れる可能性があるのかも、事前に確認しておくことが大切です。


補償の有無や範囲

国際配送では、破損や紛失のリスクが国内配送より高くなります。万が一に備え、補償制度の内容を確認しておくことが重要です。


確認したいのは、補償額の上限や補償対象外の商品、保険料の有無などです。高額商品を扱う場合は、十分な補償額を設定できる業者を選ぶ必要があります。


あわせて、補償を受けるための手続きや必要書類も把握しておくと、万が一トラブルが起きた場合でも、迅速に対応しやすくなります。


付帯サービスやトラブル対応

追跡サービスの有無と精度は、顧客からの問い合わせ対応に大きく影響します。荷物の状況を確認しやすい業者を選べば、顧客への案内もスムーズになります。


また、通関手続きのサポート体制も重要です。インボイスの作成やHSコードの選定など、専門知識が必要な作業について、どこまで支援してくれるのかを確認しましょう。


さらに、トラブル発生時の窓口やカスタマーサポートの品質も評価に含めるべきです。日本語で対応してくれるか、回答がどのくらいの早さで返ってくるかなどは、利用前に確認しておくと安心です。


越境ECの物流でよくある課題

越境ECの物流には、国内ECにはない特有の課題があります。あらかじめ課題を理解し、対策を講じておくことが、成功につながります。


物流コストが高くなる

越境ECでは、さまざまな場面でコストが発生します。国際配送の送料は国内配送の数倍になることも珍しくありません。さらに、通関手続きの費用や保険料、梱包資材の費用なども加わります。


とくに、返品が発生した場合の負担は深刻です。国際返送の送料は往路と同程度、またはそれ以上になることが多く、返品1件で利益が消えてしまうケースもあります。


コストを抑えるには、配送方法の最適化が欠かせません。商品の特性に応じて配送手段を使い分けたり、一定金額以上の注文で送料無料にしたりするなど、戦略的に設計することが求められます。


通関の手続きが複雑

2025年の米国関税・規制変更により、米国向けの配送環境は大きく変化しました。


これまで800ドル以下の低額輸入品に適用されていた免税措置は停止され、商品や通関条件によっては関税や関連コストが発生するようになっています。


そのため、越境ECでは関税負担を踏まえた価格設計や、DDP(関税込み配送)を含む配送方法の見直しが重要になっています。


DDP(関税込み配送)では、関税を発送前に確定させ、あらかじめ支払える体制が必要です。そのため、越境ECの発送業務全体をDDP(関税込み配送)前提で組み立てる必要があります。


一方で、EMSなど国際郵便サービスは、クーリエと比べて関税や通関対応の自由度が低い面があります。簡易通関では、関税を発送側が事前に処理しにくいため、DDP(関税込み配送)には向いておらず、結果として利用が制限されています。


また、米国向けの配送だけをDDP(関税込み配送)対応にするのは運用上難しく、世界向け配送をまとめてDDP(関税込み配送)対応にすると、価格が上がった印象を与えやすい点も課題です。


そのため、現地フルフィルメントやインジェクション方式など、配送料を抑える選択肢が注目されています。


通関規制は変わることがあります。最新情報を確認しつつ、インボイス作成やHSコード選定に強い物流パートナーと連携すると安心です。


国によって配送にかかる日数が異なる

配送先の国によって、商品が届くまでの日数は大きく異なります。米国や欧州の主要都市なら1週間程度で届くこともありますが、東南アジアや南米などでは2週間以上かかるケースもあります。


そのため、顧客には配送日数の目安を正確に伝えることが重要です。配送先ごとの目安を提示し、遅延の可能性もあらかじめ説明しておけば、配送に対する認識のズレを防ぎやすくなり、クレームの抑制にもつながります。


日本と比べて荷物の扱いが乱雑

海外では、日本と比べて荷物の取り扱いが粗くなることがあります。投げられたり、重ねて積まれたりすることで、商品が破損するリスクが高まります。


そのため、梱包は厳重に行う必要があります。強度の高い段ボールを使い、緩衝材を十分に入れることで、破損を防ぎやすくなります。


梱包コストは上がりますが、破損によるクレーム対応や再送の費用を考えると、必要な投資といえます。


認証や登録が必要な場合がある

商品によっては、販売先の国で認証や登録が必要になります。化粧品を扱う場合、米国ではFDA認証、中国ではNMPA登録、韓国ではMFDS認証が求められることがあります。


食品や医薬品、電気製品などでも、各国の規制に沿った認証が必要になる場合があります。認証の取得には時間とコストがかかるため、事前に要件を確認し、計画的に進めることが重要です。


国によって発送できない商品がある

国によって、輸入が禁止されている商品や、制限がかかる商品があります。たとえば、化粧品・食品・医薬品などは、国ごとに成分規制や表示規制、事前承認の要件が設けられている場合があります。


そのため、発送前に各国の輸入規制を確認することが重要です。規制に違反すると、荷物が税関で止められたり、返送・没収されたりするだけでなく、内容によっては罰金などの対象になる可能性もあります。


出典:税関「関税法の罰条」(https://www.customs.go.jp/shiryo/batsujo.htm)


返品対応に手間や費用がかかる

越境ECでは、返品対応が大きな課題です。EUでは、オンライン購入などの遠隔販売に原則14日間の撤回権が認められており、返品対応が必要になる場合があります。


海外向けに販売する際は、販売先の国・地域ごとの消費者保護ルールや返品ポリシーの表示義務を確認しておくことが重要です。


さらに、2025年以降は米国向けで800ドル以下の免税措置デミニミス(de minimis)ルールが廃止され、関税負担増加によって配送コストが上がっています。その結果、返品時の負担も従来より重くなっています。


返品対応では国際返送の送料に加え、検品や再販可否の判断、廃棄などの手間とコストが発生します。再販できない場合は損失が大きくなりやすく、返品1件で利益が失われることもあります。


たとえば5,000円の商品で、往路2,000円、返送料2,500円がかかると、返品で9,500円の損失になります。


また、返品受付を明確にしないサイトは、遵守不足と解釈され、検索評価が下がる可能性もあります。


対策としては、現地で返品を受け付け、検品から再販や廃棄まで完結できる体制を整えることです。あわせて、返品理由を分析し、商品説明の改善などで返品率を下げる取り組みも重要です。


出典:JETRO「トランプ関税の最新動向と企業への影響」(https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2025/cfe80e38332e671f.html)

出典:Your Europe「Right of withdrawal: a 14-day cooling-off period」(https://europa.eu/youreurope/citizens/consumers/shopping/returns/index_en.htm)


越境ECの物流をアウトソーシングするメリットとデメリット

越境ECの物流は複雑で、専門的な知識が求められます。すべてを自社で抱え込まず、物流代行業者にアウトソーシングすることも有効な選択肢です。


ここでは、アウトソーシングのメリットとデメリットを整理し、導入を判断するための情報を解説します。


越境ECの物流をアウトソーシングするメリット

アウトソーシングのメリットは、自社のリソースをコア業務に集中しやすくなる点です。物流の負担が軽くなれば、マーケティングや商品開発、顧客対応などに人員を充てやすくなります。


また、通関手続きや配送ルートの最適化、梱包方法など、物流の専門知識とノウハウを活用できます。自社で一から学ぶより、効率よく運用を進めやすくなります。


さらに、業者が複数の顧客の荷物をまとめて扱うことで、配送料金が有利になる場合があります。海外倉庫を持つ業者なら現地配送のリードタイムも短縮でき、顧客満足度の向上につながります。


また、配送遅延や破損、紛失などのトラブルが発生した際も、自社だけで対応を抱え込まずに済むため、運用面の負担や不安を軽減できます。


越境ECの物流をアウトソーシングするデメリット

アウトソーシングにはデメリットもあります。委託手数料が発生するため、自社運用よりコストが高くなる可能性があり、売上規模が小さい段階では固定費の負担が重く感じられます。


また、物流ノウハウが自社に蓄積しにくい点にも注意が必要です。将来的に内製化したい場合、知識や経験が不足しやすくなります。対策として、定期的な報告会やデータ共有を依頼し、配送データや顧客の声をもとに改善を進めるとよいでしょう。


さらに、業者選定を誤るとサービス品質が下がるおそれがあります。委託後も任せきりにせず、品質を定期的に確認し、必要に応じて改善を依頼することが大切です。


越境ECの物流代行業者を選ぶ際のポイント

物流代行業者は数多く存在します。どの業者を選ぶかによって、越境ECの運用のしやすさや収益性は大きく変わります。


ここからは、適切な業者を選ぶために確認したいポイントを解説します。


越境ECの物流代行の実績

まず確認したいのは、越境EC物流の実績です。国内物流の経験があっても、越境EC特有の要件に十分対応できない場合があります。


過去の取引先や配送実績のある国、取り扱ってきた商材の種類など、具体的な実績を確認しましょう。自社と近い事業規模や、類似する商材の取り扱い実績がある業者であれば、導入を進めやすいでしょう。


あわせて、料金面の背景も押さえておくと判断しやすくなります。物流サービスは配送件数によって料金や割引率が左右されます。大口契約を持つ業者は、複数の顧客の物量をまとめることで、配送会社から高い割引率を引き出しやすくなります。


独自のサービスを持つ業者や、サードパーティ(物流代行会社)経由で高い割引率を得られる業者を選べば、コスト面のメリットを得やすくなります。


対象国のマーケットに対する理解や知見

ターゲット国のマーケットに対する理解と知見も、重要な選定基準です。各国の規制や消費者の購買行動、配送インフラの状況など、現地の実情を把握している業者を選びましょう。


現地の通関規制や認証制度に詳しい業者なら、トラブルを未然に防ぎやすくなります。加えて、現地の商習慣や消費者の期待値を理解している業者であれば、適切なサービスレベルを設計しやすくなります。


サポートを受けられる範囲

物流代行業者によって、提供できるサービス範囲は異なります。単なる配送代行にとどまらず、カスタマーサポートやECサイトとのシステム連携、在庫管理まで含めて、どこまで支援してもらえるのかを確認しましょう。


ECサイトとの連携では、API連携の有無が重要です。連携できれば受注データを自動で取り込み、在庫情報もリアルタイムで更新しやすくなります。入力ミスを減らし、業務効率も高めやすくなります。


また、返品後の検品や再販対応ができるかどうかも押さえたいポイントです。現地で返品を受け付け、検品して再販できる商品は在庫に戻し、再販できない商品は廃棄まで進められる業者であれば、返品管理の負担を大きく減らせます。


サービス品質の高さ

サービス品質も重要な判断基準です。配送スピードや破損率、誤配送率などを、できる限り具体的な数値で確認しましょう。


また、顧客からのクレーム対応も品質に含まれます。問題が起きたときに、迅速かつ適切に対応してくれる業者を選べば、顧客満足度を維持しやすくなります。


料金体系

料金体系の透明性も、確認しておきたいポイントです。初期費用や固定費、従量課金など、どの費用が発生するのかを明確に提示してくれる業者を選びましょう。


あわせて、隠れコストの有無も確認が必要です。基本料金が安く見えても、オプション料金が高額だったり、解約時に違約金が発生したりする場合があります。契約前に費用項目を洗い出し、総額でいくらかかるのかを把握しておくことが重要です。


また、複数の配送オプションがある業者なら、商品や配送先に応じて最適な方法を選びやすくなります。一方で、選択肢が増えるほど自社の物量が分散し、特定の配送会社に荷物を集約しづらくなる可能性があります。


その結果、十分な割引条件を引き出せない場合があります。ただし、サードパーティが大型契約を持つことで、複数の配送会社から有利な条件を得られるケースもあるため、料金だけでなく運用面も含めて総合的に判断しましょう。


まとめ

越境ECでは物流が事業の成否を左右します。


物流コスト、配送スピード、品質をバランスよく整えれば、顧客満足度を高めながらコストを最適化し、持続的な成長につなげられます。


とくに、返品は利益を圧迫しやすいため現地で返品を受け付け、検品して再販や廃棄まで回せる体制が重要です。


Return Helperでは、返品・交換・再販売までをワンストップで支援しています。世界17か国の現地倉庫ネットワークを活用した返品・交換・在庫再販のワンストップ対応により、返品対応の効率化とコスト最適化を支援します。


ぜひ、Return Helperのウェブサイトからお問い合わせください。


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